エージェントAI(特にエージェンティックAI)は、従来のソフトウェア(ExcelやRPAなど)と比較して、**自律性、適応性、および目標指向性**という点で本質的な進化を遂げています。
従来のソフトウェアが「プログラムされた道筋」に沿って動作するのに対し、エージェント型AIは「ゴール」に向かって動くという点が根本的な違いです。
以下に、AIエージェント型AIが他のソフトウェアと比較してどのように進化しているか、具体的な観点から詳細を説明します。
### 1. プログラム(ルール)から学習・意思決定への進化
#### 従来のソフトウェア(Excel、RPAなど)
* **プログラムベース:** 人間のプログラマーがあらかじめ定めた手順やルール通りに動作します。
* **限定的:** 開発者が定義した計算処理や、事前に決められた操作(RPA)しか実行できません。たとえばExcelのマクロや関数がこれにあたります。
#### AIエージェントおよびエージェンティックAI
* **学習ベース:** 大量のデータからパターンを学習したモデルに基づいて動作します。
* **柔軟な対応:** 明示的なif/thenルールに縛られず、事前にプログラムされていない質問にも学習した知識で答えを導くなど、柔軟に対応できます。
### 2. 受動的から能動的(自律性)への進化
自律性(オートノミー)は、エージェント型AIが従来のソフトウェアと最も決定的に異なる点です。
#### 従来のソフトウェア(RPA含む)
* **受動的・依存的:** ユーザーからの指示やトリガーがあって初めて、決められた処理を実行します。常に人間の操作や指示に依存しています。
#### AIエージェントおよびエージェンティックAI
* **能動的・自律的:**
* **AIエージェント**は、与えられた目標に向かって自律的に判断し、次のアクションを決めることが可能です。与えられたタスクを代行・自動化する「秘書的」な存在と例えられます。
* **エージェンティックAI**はさらに高度であり、長期的なゴールを見据えて、今何をすべきかを自分で考え、**目標達成のために自律的に意思決定し、行動する**ことができます。人間から逐一指示を受けなくても、自ら最適なタスクを立てて実行できる「マネージャー的」な存在です。
* **具体例(在庫管理):** 従来システムが在庫不足をアラートで知らせるだけなのに対し、エージェントAIは在庫低下を検知すると自動で発注を行い、さらに天候データなどから配送遅延リスクを予測して代替手配まで行うといった、先回りした動きが可能になります。
### 3. 限定的から適応性・汎用性への進化
#### 従来のソフトウェア
* **脆さ:** 決められた環境・データでしか正しく動作しません。たとえばRPAは、画面のレイアウトやボタン一つが変わっただけで停止してしまう脆さがあります。
* **データ処理:** 構造化データ(定型データ)の処理が中心です。
#### AIエージェントおよびエージェンティックAI
* **適応性:** 入力データや状況が多少変わっても対応できます。AIモデルが自ら学習・適応して性能を向上させていくことも可能です。
* **非構造化データ対応:** 構造化データだけでなく、自由記述のテキストや音声などの**非構造化データ**を理解して処理できるため、従来は自動処理が難しかった領域にも対処可能です。
* **複雑な業務の自動化:** 従来のRPAでは難しかった、ブラウザ上でのフォーム入力や複雑なクリック操作などを、画面を視覚的に認識して判断することで柔軟にこなすことができます(「ブラウザ上のRPA」の高度化)。
### 4. ツールから協働者への進化(ユーザー体験)
従来のソフトウェアは高性能な「道具」であり、その操作にはユーザー側の知識が必要でした。しかし、エージェント型AIはデジタルな「同僚」へと進化しています。
#### 従来のソフトウェア
* **操作の学習が必要:** ユーザー側が、関数の使い方、マクロの記述、またはマニュアルに沿った正しい入力・操作方法を学ぶ必要がありました。
* **機能の限定:** 機能が限定されており、ユーザーが複数のツールを使い分けて統合する必要がありました。
#### 最新のAIエージェント
* **自然言語での対話:** ユーザーは専門知識がなくても、自然言語で対話しながらAIを動作させることができます。操作のハードルが劇的に下がりました。
* **統合的なタスク完遂:** 必要に応じて他のソフトウェアやツールを呼び出し、統合的にタスクを完遂してくれます。たとえば、人事担当者が従来別々のシステムで行っていた「シフト表の調整」や「担当者への連絡」などを、一度の指示で一貫して自動化できる可能性があります。
### 5. 生成AIを土台とした能力の昇華
エージェンティックAIの進化は、大規模言語モデル(LLM)など生成AIのブレイクスルーによって可能になりました。
* **生成AI (Generative AI):** テキストや画像を**「作り出す」**ことに注力します。質問に答えたり、文章を作成したりできます。
* **エージェンティックAI:** 生成AIの能力を土台とし、さらに外部ツールの利用や長期記憶を加えて**「自律的な行動力」**に昇華させたものです。生成物を使い、目標達成を**実行する**ことに注力します。
* 例えば、エベレストに登るのに最適な時期を生成AIが答えるのに対し、エージェンティックAIなら最適な登山時期の提案に加えて、**フライトや宿泊の予約まで自動で手配**してくれます。
このように、エージェント型AIは、単なる定型業務の自動化(RPA)や人間の意思決定支援(従来の予測AI)を超え、人間のように状況を理解し、判断し、自律的に複雑なタスクを実行・遂行する能力を持つ点で、従来のソフトウェアから大きく進化しています。