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Infection Risk Associated With Colonization by Multidrug-Resistant Gram-Negative Bacteria: An Umbrella Review and Meta-analysis

Citation
Open Forum Infect Dis. 2025 Jul;12(7):ofaf365. doi: 10.1093/ofid/ofaf365.

概要
本研究は、多剤耐性グラム陰性菌(MDR-GNB)の定着が感染発症に至るリスクを評価するため、システマティックレビューおよびメタアナリシスを対象としたアンブレラレビューである。対象は、ESBL産生腸内細菌科菌種(ESBL-E)、カルバペネム耐性腸内細菌科菌種(CRE)、多剤耐性緑膿菌(MDR-PsA)、カルバペネム耐性アシネトバクター(CRAB)に関するレビューである。

847件の文献から17件が選定され解析された。その結果、ESBL-EおよびCRE定着後の感染発症率はいずれも22%であった。固形臓器移植患者やICU入院患者では、非定着例と比較して感染リスクが著明に上昇し、血流感染に限定しても高い発症率が示された。一方、CRABやMDR-PsAに関するデータは限られていた。

死亡リスクに関しては、ESBL-E定着または感染で死亡率が上昇し、CRE定着ではさらに高い死亡率増加が認められた。感染進展に寄与する因子として、抗菌薬使用歴、ICU滞在、悪性腫瘍や肝疾患などの基礎疾患、免疫不全、侵襲的デバイス使用、多部位定着などが挙げられた。

結論として、MDR-GNB定着患者のおよそ5人に1人が感染へ進展することが明らかとなり、これは新規デコロナイゼーション戦略の臨床試験設計や感染制御策に重要な基盤データを提供するものである。