元の論文:The challenge of de-labeling penicillin allergy
Citation:Allergy. 2020;75(2):273–288. doi:10.1111/all.13848
論文の要約
このレビューは、「ペニシリンアレルギー」と診断された人が多いものの、実際には誤ったラベルであることが多く、それが医療にもたらす悪影響とその解消(de-labeling)の必要性について、わかりやすく整理しています。
◯「ペニシリンアレルギー」と記されている人は思ったより多いです
世界中で調べると、患者の8%〜25%がアレルギーのラベルを持っていますが、ほとんどは子ども時代の誤診や一過性の症状で、実際にはアレルギーではないケースがほとんどです。
◯誤ったアレルギーラベルは医療の質を下げます
ラベルがあることで、本来使えるペニシリン系薬が使えず、代わりに効きにくい・副作用の多い広域抗菌薬が使用されやすくなり、その結果、耐性菌の増加や治療の遅れなどが生じます。
◯ラベルを外す(de-labeling)が重要な対策になります
適切な診断と経口挑戦テスト(oral challenge)や場合によっては皮膚テストを用いることで、安全にラベルを削除し、より適切な抗菌薬使用が可能になります。
◯抗菌薬適正使用プログラム(ASP)に組み込むべきです
de-labelingは、医療現場での抗菌薬の適正使用促進に貢献し、耐性菌抑制や医療コストの低減にもつながる有効な戦略です。
このレビューは、「誤ってついたアレルギー表示」が医療の質に悪影響を及ぼす実情と、その解消のための方法をまとめた、診療現場に役立つ貴重な指針となっています。
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