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元の論文:Antimicrobial stewardship from a One Health perspective
Citation:Nat Rev Microbiol. 2025;23:xxx–xxx

論文の要約
このレビューは、抗菌薬適正使用(AMS)を人・動物・環境を包括する「One Health」の枠組みから再評価し、持続可能なプログラムの要素を整理したものです。

◯ 背景と課題
抗菌薬の乱用・過用が耐性菌(AMR)の世界的拡大を加速させており、南アジア、ラテンアメリカ、アフリカでの高齢者を中心に負担が大きい。2021年には470万人以上の死亡が耐性菌と関連し、2050年までに累積9,200万人の死亡が予測されています。

◯ 主なドライバー

◯ プログラムの要素
AMSは病院だけでなく、在宅・地域医療、獣医領域にも展開が必要です。主要な要素は以下:

◯ サーベイランスと評価
消費量の監視は広く行われているが、重要なのは「適正使用率」。オーストラリアNAPSでは、ガイドライン遵守率は56%だが「適正」と判断された処方は74%であり、評価指標の違いが重要とされています。

◯ 社会的公平性と持続可能性
LMICでは資金不足や人材不足がAMS実装を妨げており、短期的な国際援助頼みの構造も課題。性別や社会的地位がAMSチームの力学に影響するとの指摘もあり、ジェンダーや文化的要素を組み込んだ政策設計が必要とされています(図4, p.10 に「公平なAMSへのアクセス」を妨げる要因が整理)。

◯ デジタルとAI
電子カルテを活用した臨床意思決定支援(CDSS)や機械学習は、処方最適化やAMR予測に有用ですが、LMICでは実装が遅れています。AIは予測性能を示す一方、透明性・公平性・データ偏りが課題とされています。

◯ 結論
AMSは病院から地域・動物・環境に拡張され、One Health視点で統合的に進める必要があります。持続的な資金、ガバナンス、監視体制、社会的公平性の確保が不可欠であり、政治的意思と科学的イノベーションの結集が求められます。

抗菌薬適正使用, OneHealth, 耐性菌対策, 行動科学, デジタルヘルス,