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Aspergillus fumigatus biology, immunopathogenicity and drug resistance

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Nature Reviews Microbiology (2025) doi:10.1038/s41579-025-01180-z; Published 2 May 2025

論文の要約
本レビューは、環境常在性の糸状菌 Aspergillus fumigatus に関する多面的な側面を総括している。まず、生物学的特性として、その胞子形成や代謝の柔軟性に基づく適応メカニズムが解説されている。続いて、感染成立に関与する免疫病原性として、胞子表面のマスキング、β‑グルカン認識回避、免疫細胞とのクロストーク、特に肺胞マクロファージや好中球との相互作用が詳細に述べられている 。

さらに、COVID‑19やインフルエンザに続発しやすいウイルス関連肺アスペルギルス症(virus‑associated pulmonary aspergillosis)を取り上げ、ウイルス感染後にA. fumigatusがどのように肺で増殖し免疫回避するかの最新知見が紹介されている。

また、トリアゾール系などの抗真菌薬に対する耐性の現状とその分子機序(SNP、遺伝子重複、環境圧による選択)についても詳述されており、臨床的課題として治療戦略の再検討が求められている 。

最後に、将来的な展望として、新たな免疫治療(PTX3、補体経路、IL‑1誘導回路等の標的化)、バイオマーカーの活用、環境・臨床隔離に基づく感染管理の統合アプローチが提唱されている。

本レビューは、侵襲的アスペルギルス症に関わる基礎研究から臨床応用に至るまで総合的な視点を提示しており、微生物学者、免疫学者、臨床医にとって重要な一読の資料である。