Community-Acquired Pneumonia: A Review
Citation
JAMA. 2024 Oct 15;332(15):1282–1295. doi: 10.1001/jama.2024.14796.
概要
本総説は、成人における市中肺炎(CAP)の病因、診断、治療に関する最新のエビデンスをまとめたものである。CAPは米国で最も頻度の高い感染症による入院原因であり、年間約74万件の入院、4.1万件の死亡、77億ドルの医療費を伴う。入院例のうち20%は集中治療を要し、高齢者や基礎肺疾患を有する患者では死亡率が高い。
疫学と病因
CAPの原因は多様であり、入院患者で病原体が同定されるのは38%に過ぎない。病原体が特定された場合、その40%はウイルスであり、最も多い細菌は肺炎球菌である。重症CAPでは細菌性病因の頻度が高く、特に肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、腸内細菌科が多い。
診断
CAPは、発熱や白血球異常などの全身徴候、咳や呼吸困難などの呼吸器症状のうち2つ以上と、胸部画像での浸潤影の組み合わせで診断される。臨床所見の感度・特異度は限定的であり、診断過剰が大きな問題となっている。胸部X線は初期評価に有用だが感度・特異度は限定的であり、必要に応じCTを行う。COVID-19やインフルエンザが流行している時期は全例で検査を行うことが推奨される。
治療
外来患者で合併症がない場合はアモキシシリンまたはドキシサイクリン、合併症がある場合はアモキシシリン/クラブラン酸またはセフェム+マクロライドが推奨される。入院例では、耐性菌リスクがなければセフトリアキソン+アジスロマイシンなどのβラクタム/マクロライド併用療法を最低3日間行う。フルオロキノロンは副作用の懸念から第一選択ではない。重症例ではマクロライドの追加により転帰改善が期待され、さらに早期の全身性ステロイド投与(例:ヒドロコルチゾン200–400 mg/日)が28日死亡率を低下させる可能性が示されている。
治療期間と抗菌薬適正使用
抗菌薬は可能な限り短期間で投与すべきであり、非重症CAPで3日間、安定化が遅れる場合でも5日間が推奨される。耐性菌リスクがある患者では病原体同定後の迅速なde-escalationが重要である。
予防
再発リスクが高いため、喫煙・飲酒の中止、口腔衛生の維持、インフルエンザ、肺炎球菌、COVID-19、RSウイルスなどのワクチン接種が重要である。
結論
CAPは依然として主要な感染症であり、診断の正確化と抗菌薬の適正使用、重症例におけるマクロライドやステロイドの適切な使用、さらに予防戦略が転帰改善に不可欠である。