COVID‑19 drug discovery and treatment options
Citation
Nature Reviews Microbiology, vol. 22, pp. xxx–xxx (2024)
論文の要約
本レビューは、COVID‑19治療薬の探索手法、前臨床評価モデル、ウイルス標的および宿主標的治療戦略、そして臨床使用中の代表的治療薬を包括的に整理している。
治療薬発見のアプローチ:高スループットスクリーニング、構造ベースのドラッグデザイン、既存医薬品の再用途利用(repurposing)が主な方向性として紹介されている。
前臨床モデル:細胞培養系、オルガノイドや動物モデル(ハムスター、トランスジェニックマウスなど)が治療候補の有効性と安全性評価に用いられている。
ウイルス標的治療:ウイルスタンパク質(プロテアーゼ、ポリメラーゼ、スパイク)の阻害薬が有望視され、複数の候補分子の作用機序や適用段階が整理されている。
宿主標的治療:免疫調整薬(ステロイド、JAK阻害薬など)や脂質代謝介入薬による宿主反応の制御が、炎症軽減やウイルス排除支援として紹介されている。
臨床応用中の治療薬:レムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル+リトナビルなどの臨床現場で使用が拡大している薬剤について、エビデンスと課題が整理されている。
また、レビューでは将来的なパンデミックに備えた対策として、広域抗ウイルス薬や汎用的免疫調整薬の開発、迅速スクリーニング体制の整備の重要性が強調されている。本論文は、COVID‑19治療の現在地と展望を体系的に示しており、ウイルス学者、創薬研究者、公衆衛生関係者にとって極めて有用な内容である。