(1→3)-β-D-Glucan-guided antifungal therapy in adults with sepsis: the CandiSep randomized clinical trial
Citation
Intensive Care Medicine, 2022; 48: 865–875
概要
ドイツの18 ICUで、侵襲性カンジダ感染症(ICI)高リスクの成人敗血症患者を対象に、血清(1→3)-β-D-グルカン(BDG)値による抗真菌薬開始ガイドと、標準的な培養結果に基づく治療の比較を行った多施設RCT。対象は339例で、BDG群(n=172)では初期2日間の連続2回の採血のうち1回以上が80pg/mL以上なら抗真菌薬を開始、対照群(n=167)は培養陽性時のみ治療した。
主要評価項目(28日全死亡率)
BDG群33.7%、対照群30.5%で有意差なし(RR 1.10, 95%CI 0.80–1.51, p=0.53)。
副次評価項目(続き)
28日時点での抗真菌薬非使用生存率はBDG群30.2%に対し対照群52.1%で、BDG群の方が有意に低かった(p<0.01)。抗真菌薬使用日数や入院日数、ICU滞在日数、SOFAスコア、臓器サポート期間には有意差なし。抗真菌薬コストはBDG群の方が高かったが統計的有意差なし。
考察
BDG測定により抗真菌薬開始は早まったが、28日死亡率の改善は見られず、抗真菌薬使用が増加した。特異度の低さや対象患者の実際のICI発症率の低さが影響した可能性がある。ICI発症率が高い集団では有用性が異なる可能性があり、今後の検証が必要。
結論
敗血症・敗血症性ショックでICIリスクが高いとされる患者において、血清BDGガイドによる抗真菌治療の早期開始は、標準的な培養ベースの治療に比べ、28日死亡率の改善を示さなかった。ICI発症率が低い集団では、BDGガイドによる治療開始の有益性は支持されない。