Feasibility and utility of the days of antibiotic spectrum coverage (DASC) in national antimicrobial use surveillance in Japan
Citation
Antimicrobial Stewardship & Healthcare Epidemiology, 2025; 5: e175
論文の要約
この研究は、抗菌薬の使用量だけでなくスペクトラムの広さも反映する新指標「Days of Antibiotic Spectrum Coverage(DASC)」を、日本の全国サーベイランスシステムJ-SIPHEに導入する実現可能性と有用性を検証したものである。
方法
2019~2022年にJ-SIPHEへ参加した1,833病院(全国の約4分の1)を対象とし、DOT(Days of Therapy)、DASC、DASC/DOTを算出・比較。抗菌薬には既報や専門家合意によるASCスコアを付与し、規格外薬や抗真菌薬・抗ウイルス薬は除外した。
主な結果
2019年から2022年にかけ、全国中央値でDOTは21.2%減、DASCは19.1%減となったが、DASC/DOTはほぼ横ばい。
DASCによる評価では、カルバペネムやフルオロキノロンなど広域薬の順位がDOTより上昇し、逆に第一世代セフェムは順位が低下。
病院規模別にみると、小規模・中規模病院での変動が大きく、処方パターンの違いが明らかになった。
意義
DASCはDOTでは見えにくい抗菌薬スペクトラムの広さを定量化でき、広域薬の影響や抗菌薬適正使用(ASP)の重点介入先を把握するのに有効。DOTとDASC/DOTを併用して可視化することで、全国的ベンチマーキングや病院別フィードバックにも応用可能とされる。