Enterococcus faecium: evolution, adaptation, pathogenesis and emerging therapeutics
Citation
Nature Reviews Microbiology, 22:705–721 (2024)
論文の要約
本レビューは、ヒトおよび動物の常在菌から院内獲得感染の主要病原体へと進化した Enterococcus faecium、特にバンコマイシン耐性株(VREfm)の進化・適応メカニズム、病原性形成、生存戦略、さらには新たな予防・治療戦略の可能性について包括的に解説している。
進化と適応:遺伝的多様化やプラスミド獲得を経て、病院関連クレードや動物由来クレードが明確に分化し、VREfmは高度な環境耐性と抗菌薬耐性を獲得している。scispace.com+7Nature+7researchgate.net+7PubMed
病原性と伝播:耐性遺伝子のプラスミドによる伝播だけでなく、生体膜形成、毒素産生、宿主細胞との相互作用を介した定着メカニズムも詳細に解析されている。
環境・臨床環境での生存戦略:VREfmはストレス応答、厳しい環境下での休眠細胞形成、そして手指衛生対策にも耐える生存特性を備えており、除去困難な院内病原体としての性質が強調されている。Nature+1PubMed+1
新規治療戦略の展望:治療にはプラスミドの伝播阻害、細菌毒素ターゲット戦略、バクテリオファージ療法、さらにプロバイオティクスによる競合除去などの先端的アプローチが提案されている。
本論文は、AMR(抗菌薬耐性)菌として世界的に問題となっている Enterococcus faecium の生態・進化・病原性・治療法開発を多角的に網羅した内容であり、感染制御、微生物進化、公衆衛生戦略に関わる研究者・医療者にとって必読のレビューである。