Epstein–Barr virus pathogenesis and emerging control strategies
Citation
Nature Reviews Microbiology (2025)
論文の要約
本レビューは、Epstein–Barrウイルス(EBV)が引き起こす多様な疾患と、その分子機構、ならびに新たに開発されつつある制御戦略について概説している。
EBVはヒトのB細胞に持続感染するヘルペスウイルスであり、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、鼻咽頭がんなど、さまざまな悪性腫瘍の原因となる。また、一次感染はしばしば不顕性感染であるが、伝染性単核球症や、近年では多発性硬化症などの自己免疫疾患との関連も報告されている。
本論文では、ウイルスの潜伏感染と再活性化に関与するウイルスタンパク質、宿主の免疫応答との相互作用、腫瘍形成に至る分子経路などを整理するとともに、これらの知見に基づいた新たな治療標的が紹介されている。さらに、EBVに対するワクチン開発の進展や、T細胞療法、モノクローナル抗体を用いた免疫療法の臨床応用の可能性についても詳述されている。
本レビューは、EBV関連疾患の理解と制御に向けた基礎研究と臨床応用を橋渡しする重要な知見を提供するものであり、感染症、腫瘍免疫、神経免疫など広範な分野の研究者にとって有用な内容である。