An Observational Analysis of a Large Cohort of Pneumocystis jirovecii Pneumonia
Citation
OFID, ofaf390, https://doi.org/10.1093/ofid/ofaf390
論文の要約
本研究は、米国大規模学術医療機関ネットワークにて2017~2024年に診断されたPneumocystis jirovecii肺炎(PCP)症例701件を後ろ向きに解析し、非HIV免疫抑制患者における疫学的実態と予後因子を評価した。
患者背景:中央値年齢65歳、62%が男性。主なリスク因子は血液悪性腫瘍(32%)、固形腫瘍化学療法中(22%)、膠原病等への免疫抑制療法(17%)であった。報告期間中にPCP症例数は年平均15.8%の割合で増加した。
プロフィラキシスの実施率:診断時にプロフィラキシス中であった患者はわずか5.4%であり、予防策の未整備が示唆された。
予後(死亡率およびリスク因子):全体の30日死亡率は約20%、特に肝硬変を合併した患者で致死リスク(調整後オッズ比: 6.24)が有意に上昇。Pitt菌血症スコア>4も独立した予後因子であった。
本研究は、HIV非感染免疫抑制者におけるPCPの臨床的重症度、予後因子、予防不実施の現状を明示しており、非HIV患者に対するPCP予防・診療指針の見直しに向けた重要な科学的根拠を提供している。