元の論文:Updates on HPV Vaccination
Citation:Diagnostics. 2023;13:243
論文の要約
このレビューは、HPVワクチンの歴史、科学的背景、効果、安全性、そして世界的な導入状況と課題を整理しています。
◯ 背景
HPVは世界で最も一般的な性感染症であり、子宮頸がんをはじめとする多くのがんの原因となります。特にHPV16と18は子宮頸がんの約70%を引き起こします。
◯ ワクチンの種類
ガーダシル(4価、2006年承認):HPV6, 11, 16, 18に効果
サーバリックス(2価、2007年承認):HPV16, 18に効果
ガーダシル9(9価、2014年承認):さらにHPV31, 33, 45, 52, 58を追加
セコリン(2価、中国、2020年承認)、Walvax社製2価ワクチン(中国、2022年承認)もWHOで事前認証済み
◯ 有効性と安全性
臨床試験で高い効果が証明され、子宮頸部前がん病変や感染を予防します。副作用は注射部位の痛みや軽い全身症状が多いですが、重篤な副作用や死亡例は報告されていません。
◯ 公衆衛生への影響
オーストラリアやイギリスでは、ワクチン導入後に若年女性の子宮頸がんや前がん病変が80%以上減少しました。デンマークなど他国でも効果が確認されています。
◯ 世界的課題
低中所得国ではワクチン導入率が低く、費用、供給不足、コールドチェーンの必要性、ワクチン忌避などが障壁となっています。特に日本では2013年から約9年間、積極的勧奨が停止され接種率が1%未満まで低下しましたが、2022年に再開されました。
◯ 今後の展望
1回接種スケジュールの有効性が示され、導入が進めば費用と供給問題を改善可能
CIN治療後の再発予防や治療的ワクチンの研究も進展
世界的なカバレッジ拡大と公平なアクセスが、子宮頸がん撲滅に不可欠
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