感染症発生動向調査週報(IDWR)2025年第30号(2025年7月15日~7月21日)
概要
2025年第30週における全国の感染症発生動向が報告された。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
定点当たり報告数は3.62であり、前週から増加した。若年層で高い報告数が見られ、学校や学童関連での集団感染が示唆された。
インフルエンザ
全国の定点当たり報告数は0.09であり、散発的な発生にとどまっている。夏季であるため大規模な流行は認められていない。
感染性胃腸炎
定点当たり報告数は7.59で前週の7.84からやや減少したが、依然として小児を中心に高い発生が続いている。ノロウイルスやロタウイルスが主要病因と考えられる。
咽頭結膜熱
定点当たり報告数は1.86であり、前週(2.01)から減少傾向を示した。夏季に流行しやすいアデノウイルス感染症であり、学童や保育施設での報告が多い。
手足口病
定点当たり報告数は6.40で、前週(5.94)から増加した。西日本を中心に高い報告数が続いており、乳幼児を主体に流行している。
ヘルパンギーナ
定点当たり報告数は0.73で前週(0.92)から減少した。例年夏季に流行するが、今年は報告数は比較的少ない。
RSウイルス感染症
定点当たり報告数は0.65で前週(0.69)と同水準で推移した。乳幼児における散発的発生が続いている。
百日咳
定点当たり報告数は0.08で低水準にとどまった。ワクチン未接種児や若年層における発生が散発的に認められる。
全体として、第30週は夏季に流行しやすい小児感染症(感染性胃腸炎、手足口病、咽頭結膜熱)の発生が目立ち、引き続き新型コロナウイルス感染症の報告数増加も注目された。厚生労働省は、感染予防策の徹底とともに、集団生活施設における早期対応の重要性を呼びかけている。