Effectiveness and safety of an institutional aminoglycoside-based regimen as empirical treatment of patients with pyelonephritis
Citation
Journal of Antimicrobial Chemotherapy, 2020; 75(8): 2307–2313
概要
イスラエル・テルアビブの三次医療機関において、2016年に腎盂腎炎入院患者の初期治療としてアミノグリコシド系抗菌薬を第一選択とする院内ガイドラインを導入し、その後の臨床成績を後方視的に検証した。2017年1月〜2019年4月に入院し、培養陽性で腎盂腎炎と診断された成人2,026例が対象。715例がアミノグリコシド(ゲンタマイシンまたはアミカシン)を、1,311例が非アミノグリコシド薬(セフトリアキソン、ピペラシリン/タゾバクタム、カルバペネム、フルオロキノロンなど)を初期治療として受けた。
有効性
アミノグリコシド群は初期薬剤が分離菌に対してin vitro活性を有する割合が高かった(91.4% vs 80.0%)。
30日全死亡率はアミノグリコシド群7.6%、非アミノグリコシド群11.0%で、傾向スコア調整後も有意に低かった(HR 0.78, p=0.013)。
全ての事前規定サブグループで同等または優越性を示し、特にゲンタマイシン使用例やeGFR<50 mL/min群で有意な死亡率低下を認めた。
入院期間は短縮(中央値5日 vs 6日)、90日以内の再入院率も低下。
安全性
急性腎障害の発生率は両群で差がなかった(2.5% vs 2.9%)。
C. difficile感染率も同等(約1%)。
結論
アミノグリコシドを初期経験的治療として用いる施設プロトコルは、腎盂腎炎患者においてin vitro活性の向上と30日死亡率の低下に関連し、腎毒性の増加は認めなかった。特にESBL産生菌が多い環境では、カルバペネム節約の有力な選択肢となり得る。