元の論文:Retrospective study on penicillin allergy delabeling and evaluation of an antibiotic allergy assessment tool
Citation:J Infect Chemother. 2025;31:102526. doi:10.1016/j.jiac.2024.09.015
論文の要約
この研究は、聖路加国際病院で「ペニシリンアレルギー」と記録されていた患者について、実際にどのくらいの人が誤ってラベル付けされていたか、また「Antibiotic Allergy Assessment Tool(AAAT)」という評価ツールを使えば、専門医を介さずにどのくらいラベル解除(delabeling)が可能かを調べたものです。
◯対象と方法
2017年から2021年にかけて入院した530人の「ペニシリンアレルギー」ラベル患者を後方視的に解析しました。
◯結果
62人(11.7%)は実際にはアレルギーがなく、そのままラベル解除可能でした。さらにAAATで評価すると、残りの患者のうち137人(25.8%)も専門医なしでラベル解除できる可能性が示されました 。
◯影響する要因
アレルギー発症から10年以上経過している場合、解除の可能性が高い(OR=8.52)
アレルギーを登録したのが医師ではなく看護師である場合も、解除につながりやすい(OR=1.83)。
◯意義
AAATを使えば、専門医不足という現状でも安全にラベル解除を広げられる可能性があることが示されました。今後は前向き研究で安全性を確認し、標準化された登録方法や教育体制の整備が必要です。
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