Metagenomic Next‑Generation Sequencing of Cerebrospinal Fluid
Citation
CID, ciaf390, https://doi.org/10.1093/cid/ciaf390
論文の要約
本後ろ向きコホート研究は、神経感染症疑いで臨床的に髄液mNGS検査を受けた422検体を対象とし、その診断精度および臨床的有用性を評価している。
方法:422件の臨床依頼髄液サンプルに対し、mNGSを行い得られた配列情報の臨床的意義(病原体同定・非同定)と標準検査との一致性を解析した。
結果:mNGSにより、従来の培養や特異的PCR検査で検出困難な病原体(ウイルス・真菌・細菌)の検出に成功した例が多数報告された。また、mNGS結果に基づき臨床診断が変更された症例も確認され、診療プロセスに直接的影響を与えていた。
結論:髄液mNGSは神経感染症の原因病原体を幅広く検出可能であり、診断困難例の精緻化や治療戦略の見直しに貢献できる重要なツールであると示された。ただし、偽陽性・検査コスト・解釈の難しさなどの課題も指摘され、標準検査との併用や専門的評価が必要とされる。
本研究は、mNGS技術が神経感染症診療における補助的診断アプローチとして実用的価値があることを示しており、感染症・神経内科・臨床検査に携わる医療者にとって有益な知見を提供している。