Norovirus replication, host interactions and vaccine advances
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Nature Reviews Microbiology (2025)
論文の要約
本レビューは、ヒトノロウイルスのウイルス学的特徴からワクチン開発の進展まで、最新の知見を総合的に整理している。
まず、ノロウイルスは高度に感染力が強く、環境中で安定して長時間残存する性質を持つ。そのため低用量接触でも感染しうること、一般のアルコール製ハンドサニタイザーでは不活化されず、手洗いが有効である点に着目している。
ウイルスの細胞侵入メカニズムでは、ヒストボンディングサイト(HBGA)と呼ばれる宿主分子への結合が複製の要であると同時に、種・株による結合特性の差が感染性株の多様性に寄与していることが示されている。さらに、ウイルス構造、replicase複合体、宿主免疫回避戦略についても解説されている。
ワクチン開発に関しては、GII.4系統をターゲットとした二価RNAワクチンが臨床試験フェーズに進んでおり、エンテロイドモデルにおいて細胞性・液性免疫応答が誘導されるエビデンスが得られている。将来的にはノロウイルスによる急性胃腸炎の発症予防に期待されている。
本レビューは、感染制御(衛生・除菌)、ウイルス遺伝的・構造的特徴、免疫応答、そしてワクチン設計を広くカバーしており、公衆衛生と感染症制御の観点で極めて重要な内容となっている。