Respiratory Syncytial Virus (RSV)-Related Hospitalization and Increased Rate of Cardiovascular Events in Older Adults
Citation
J Am Geriatr Soc, doi:10.1111/jgs.19591 (2025年)
論文の要約
本後ろ向きコホート研究は、カナダ・オンタリオ州における65歳以上の成人を対象に、RSV入院とその後の心血管イベント発生率との関連を評価したものである。
対象・方法:2011年から2020年にRSV、インフルエンザ、尿路感染症、骨折で入院した高齢者を比較対象群とし、退院後最大1年以内の心不全、心筋梗塞、脳卒中、心房細動などの発生を追跡した。
主な結果:RSV入院患者の18.5%が退院後に心血管イベントを経験し、これはインフル群(17.7%)、尿路感染群(12.1%)、骨折群(8.4%)に比べ有意に高かった。
特に心不全の発生は、他群と比較して1.5〜3.7倍のリスク上昇と関連した(共変量調整後 HR)。
副次的リスク:RSV患者は ICU 転送、延長入院、30日死亡率のいずれも他群に比して高リスクであった。
臨床的意義:RSV感染は高齢者において短期・中期ともに心血管マルチモービディティの増大につながる可能性が示されており、RSVワクチン接種推奨だけでなく、退院後の心血管症状のフォローアップも重要とされる。
本研究は、RSV感染による診療負担および長期的健康被害の理解を深め、高齢者医療における予防策とモニタリング設計を再考する上で非常に示唆に富む内容です。