Comparison of 8 versus 15 days of antibiotic therapy for Pseudomonas aeruginosa ventilator-associated pneumonia in adults: a randomized, controlled, open-label trial
Citation
Intensive Care Medicine, 2022; 48: 841–849
概要
フランス30施設で、Pseudomonas aeruginosaによる人工呼吸器関連肺炎(PA-VAP)患者を対象に、抗菌薬治療期間8日間と15日間を比較した多施設無作為化非盲検非劣性試験。主要評価項目は、90日以内のICU在院中死亡またはPA-VAP再発の複合アウトカム。予定症例数600例に対し、2年間で186例(ITT解析)が登録され、症例集積の遅延により試験は早期終了した。
主要結果(ITT集団)
複合アウトカム発生率:15日群25.5%(25/98) vs 8日群35.2%(31/88)
群間差:9.7%(90%CI −1.9〜21.2)で、非劣性は証明されず。
Fine and Grayモデル解析では、8日群の方が15日群よりもPA-VAP再発リスクが高かった(sHR 1.99, 90%CI 1.01–3.95)。
90日全生存率は両群で差がなく(15日群81.4% vs 8日群75.6%)、死亡率単独の有意差は認められなかった。
副次評価項目
機械換気期間、ICU滞在日数、ICU在院中の他部位感染件数、MDR菌獲得率はいずれも両群で差なし。
抗菌薬曝露日数は15日群の中央値23日(IQR 15–34)に対し、8日群18日(IQR 11.5–28.5)と短縮。
結論
PA-VAP患者における8日間抗菌薬治療は、15日間治療に比べ非劣性を証明できず、再発率は高かった。一方で死亡率やその他の臨床アウトカムには差はなく、抗菌薬曝露は短縮できた。症例数不足による統計的パワー不足の可能性があり、短期療法を採用する場合は再発リスクを念頭に置きつつ慎重な経過観察が必要である。