Two Randomized Trials of Neutralizing Antibodies to Prevent HIV-1 Acquisition
Citation
New England Journal of Medicine, 2021; 384:1003–1014
論文の要約
本研究は、広範中和抗体(bnAb)VRC01がHIV-1感染を予防できるかを評価するために行われた、HVTN 704/HPTN 085(米州・欧州の男性・トランスジェンダー対象)とHVTN 703/HPTN 081(サハラ以南アフリカの女性対象)の2つの並行無作為化二重盲検プラセボ対照第2b相試験の結果を報告している。
方法
参加者は8週ごとにVRC01を10mg/kgまたは30mg/kg静注、またはプラセボを計10回投与され、80週までHIV-1感染の有無を追跡。感染株のVRC01感受性(IC80)をTZM-blアッセイで測定。
主な結果
全体の感染予防効果は有意ではなく、HVTN 704/HPTN 085で26.6%、HVTN 703/HPTN 081で8.8%。
しかし、VRC01感受性が高い株(IC80 <1 μg/mL)に対しては、両試験統合解析で75.4%の予防効果が認められた。
感受性中間または耐性株に対しては効果なし。
感受性株感染例では、VRC01群の初期ウイルス量はプラセボ群より低かった。
安全性面では有害事象発生率・重症度は群間でほぼ同等。
意義
VRC01単剤では全体のHIV感染予防効果は示されなかったが、in vitroで高感受性を示すウイルス株に限れば高い予防効果が得られたことから、bnAbを用いた予防戦略の概念実証(proof-of-concept)が示された。今後は、より広範かつ高力価のbnAbや併用レジメンによる予防戦略が期待される。