ブラザー工業(6448)は、ミシン修理店から始まり、精密加工技術を核としてプリンターやミシンを展開してきた。しかし現在は、安定収益を生むプリンティング事業などの“収穫事業”で得た資金を、EV部品加工向け工作機械「SPEEDIO」や産業用印刷機を中心とする“成長事業”へ再投資する構造へと転換している。特にマシナリー・FA事業は中核戦略で、EV需要に対応した新型機を投入し、中国・インドなど成長市場で体制を拡大。一方で成熟市場では高効率機への置き換え提案を進める。また、ドミノ社買収により産業用印刷の領域でも存在感を強化。さらに中期戦略「CS B2027」では大規模な自社株買いや増配を掲げ、株主還元姿勢を強めている。ブラザーは今や“産業の巨人”への進化を加速させている。