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維持血液透析を受けている患者さんにとって、心血管疾患は最大の死因であり、その死亡率は一般人口の20倍にも達します。しかし、この高リスク集団に対する有効な予防的医療介入は限られています。

今回ご紹介するPISCES試験は、魚油(n-3多価不飽和脂肪酸)の日常的な補給が血液透析患者の重篤な心血管イベントを減少させるかどうかを検証した、カナダとオーストラリアの26施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照試験です。対象となった成人患者1228名を魚油群(EPA 1.6g、DHA 0.8gを含む4g/日)またはプラセボ群(コーン油)に無作為に割り付け、平均3.5年間追跡しました。

その結果、魚油群ではプラセボ群と比較して、重篤な心血管イベント(複合主要評価項目)の発生率が有意に低いことが示されました(ハザード比 0.57、95%信頼区間 0.47〜0.70、P<0.001)。個々の評価項目、例えば心臓死についてもハザード比0.55と、同様の低下が確認されています。試験期間中の有害事象の発生率に大きな差はなく、特に懸念されていた出血イベントの発生率は、魚油群の方が低かったという結果も得られています。

これらの知見は、血液透析患者における心血管イベントの予防において、n-3脂肪酸の日常的な補給が効果的であることを示唆しています。

Lok CE, Farkouh M, Hemmelgarn BR, et al. Fish-Oil Supplementation and Cardiovascular Events in Patients Receiving Hemodialysis. N Engl J Med. 2025. DOI: 10.1056/NEJMoa2513032.

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