今回のテーマは、日々進化するAI技術が臨床や教育に与える影響。特に、若手医師のスキル低下を防ぎ、AIと安全かつ効果的に共存するための具体的な指導法について、NEJMの最新レビュー論文を深掘りします。
大規模言語モデル(LLMs)に代表されるAIは、医療学習と実践を根本的に変える可能性を持っていますが、その利用は
「デスクリング(既得スキルの喪失)」
「ネバースキリング(必須スキルの未発達)」
「ミススキリング(不正確な行動の強化)」
などのリスクを引き起こす可能性があります。
不確実なAIの出力に直面した際に効率性と革新性の間を柔軟に移行する適応的実践を支えるため、批判的思考の育成が不可欠です。指導医が学習者よりもAIに不慣れな場合もあるため、AIの能力と限界を共同で探求する「共有学習モデル」を導入し、学習者の洞察を活かすことが推奨されます。
本論文では、臨床指導中に批判的思考とAIリテラシーを促進するため、
Diagnosis(診断)
Evidence(根拠)
Feedback(フィードバック)
Teaching(教育)」
にAIの利用推奨を加えた構造的アプローチ「DEFT-AI」フレームワーク
を提案しています。このフレームワークは、AIとの協働行動をリスクに応じて「セントール」(慎重な評価を伴う分担)と「サイボーグ」(密接な協働)間で切り替える、適応的なAI実践を促します。最終的には、AIの出力は検証なしには完全に信頼できないという前提に基づき、「検証してから信頼する(Verify and Trust)」というパラダイムを確立することが重要であると述べています。
Abdulnour RE, Gin B, Boscardin CK. Educational Strategies for Clinical Supervision of Artificial Intelligence Use. N Engl J Med 2025;393:786-97.
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