「ジェネラリストは何でも知っていなければならないのか?」「専門を細分化すれば、不確実性から逃れられるのか?」といった、多くの医師が抱える誤解やジレンマを、Stephens先生は次々と論破していきます。
そして、家庭医療の独自性は「患者マネジメント」というスキルにあると力強く主張します。これは単なる治療ではなく、診断がつかない状態や、人生の転機に伴う訴え、治癒が望めない疾患など、様々な状況で患者に寄り添い、より良い方向へ導くための包括的な関わりです。医師自身の人柄や患者さんとの関係性が「薬」のように治療的に働くこともある、と述べられています。家庭医・総合診療医として働くすべての先生方に、自信と新たな視点を与えてくれるエピソードです。
—本論文は、家庭医療(Family Practice)の学問的・知的な基盤について論じたものです。著者はまず、専門性が技術や知識の範囲で定義されるという考え方を退け、「ジェネラリストは全てを知る必要がある」といった一般的な4つの誤謬と、科学的思考に根付く3つの思い込みを指摘し、これらが家庭医療の本質を理解する上での妨げになっていると主張します。その上で、家庭医療の独自性は「患者マネジメント」というスキルにあると定義しています。これは、診断や治療といった個々の行為以上に包括的な概念であり、医師自身の人格や患者との関係性をも治療的に用いる「アート」の側面も含みます。この「患者マネジメント」こそが、家庭医療における研究、教育、そして実践の中心となるべき普遍的なスキルであると結論付けています。
Stephens GG. The Intellectual Basis of Family Practice. Tucson, AZ: Winter Publishing Company; 1982.
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