元ネタ https://jazzywada.blog.jp/archives/1085530178.html
「ふりーはーとメールマガジン」の第110号(2003年9月14日発行)を中心に構成されており、筆者と高校時代の同級生である医師とのユーモラスな会話が中心テーマです。記事の核心は、プラセボ効果(偽薬効果)の大きさに焦点を当てたものであり、医師が、薬の成分が同じでも名前が違うと効かないと訴える患者が多いことや、薬効のない増量剤でも効果があるという興味深い実験結果について語ります。また、この本文は当時の流行語や古い表現を織り交ぜた随筆(エッセイ)調の文体で書かれており、非常に親密な個人メディアとしてのメールマガジン文化を反映しています。関連する情報として、コーヒーやジャズ、巡礼といった筆者の個人的な関心事への言及や、記事を音声で配信するアイデアなど、メルマガ発行当時の技術的な展望についても触れられています。
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薬の効き目は「名前」で決まる? 医師が明かした「思い込み」の驚くべき力はじめに:その薬、本当に「成分」だけで効いていますか?
先日、高校時代の旧友が営むクリニックに、いつものように立ち寄ったときのことです。病気にかこつけてはいますが、本当の目的は世間話や昔話に花を咲かせること。そんな気楽な診察室での会話から、薬の効果をめぐる、なんとも興味深い話が飛び出しました。
「有名なブランドの薬だから効きそう」「ジェネリックは本当に同じ効果?」——誰しも一度は抱いたことのある、こんな素朴な疑問。その答えは、私たちが思う以上に「心」や「思い込み」と深く関わっているようです。
この記事は、2003年に個人のメールマガジンに綴られた、旧友である医師との会話に基づいています。彼の口から語られた「医者の常識」は、思い込みというものの力を示す、3つの驚くべきポイントを教えてくれました。
その日も、いつものように雑談を交わした後、友人の医師がふと尋ねました。「ところで、この前のクスリ効いたか?」。私が「うん、よく効いたよ」と答えると、彼は少し面白いことを話し始めました。処方した薬が、いつもとメーカーが違う同じ成分のものだったと言うのです。
そして、彼は「医者の常識なんだが」と前置きして、こう続けました。
いや,医者の常識なんだが,名が違うと同じ成分でも『効かん』と訴える客,いや患者が多いんよ。
たとえ成分が全く同じでも、薬の名前やパッケージが違うだけで「効かない」と感じてしまう。真面目な医療の現場でさえ、私たちの心がいかに馴染みのある「いつもの」という安心感に左右されてしまうのか。旧友との何気ない会話から垣間見えた、この人間味あふれる心の動きに、私は思わず唸ってしまいました。
話はさらに核心に迫ります。私の興味を引いたと見た彼は、さらに驚くべき実験結果を教えてくれました。それは、有効成分を一切含まない、ただの増量剤(乳糖)を患者に飲ませた場合の効果についてです。
うん。実験結果もあるんよ。まったく薬効のないとされる増量剤の乳糖だけを呑ませても,約3割の患者には効くンよぉ
これには心底驚きました。思わず、当時流行していたテレビ番組「トリビアの泉」さながらに、診察室の机を拳で叩いてしまったほどです。「へぇー!」と。薬効成分ゼロの粒が、3割もの人に効果をもたらす。「医師から処方された薬を飲んだ」という行為そのものが、私たちの体に変化をもたらす強力なスイッチになるという、何よりの証拠でした。
そして、話は思い込みの力が持つ、さらに強烈な側面へと続きます。医師はにやりとしながら、最後の事実を明かしました。
効いたかなと云う自覚症状の患者も含めると,大方半分近くなるんよぉね。ちゃんと薬疹もでるんよ。
「なんとなく効いた気がする」という人まで含めれば、その数は半数近くにのぼる。それだけでも驚きですが、信じがたいことに、中には副作用である「薬疹(やくしん)」まで出る人がいるというのです。これには再び机を叩いてしまいました。思い込みが、気分だけでなく、実際に体に発疹として現れるほどの物理的な影響を及ぼすとは。私たちの心と体がいかに不思議な形で結びついているかを、まざまざと見せつけられた瞬間でした。
「名前が違うと効かない」「偽薬でも3割に効く」、そして「副作用さえも現れる」。旧友との雑談から飛び出したこの3つの話は、薬の効果というものが、いかに私たちの心理に深く根ざしているかを教えてくれます。
一連の話を聞き終えた私は、感嘆とともにこう呟いていました。
「思いこみと言うか,暗示とは,さういふものかは。」
20年以上前のこの小さな発見は、現代を生きる私たちにとっても、示唆に富んでいます。心と体は、目に見えない糸で、私たちが想像する以上に固く結ばれているのです。
もし「信じること」がこれほどの力を持つなら、私たちは自分自身の健康と、これからどう向き合っていくべきでしょうか?薬を飲むとき、治療を受けるとき、その見えない力を少しだけ意識してみることで、何かが変わるのかもしれません。
1. 「名前が違うと効かない」と感じる患者たち2. 何も入っていない薬でも「3割の人には効く」という事実3. 思い込みは「副作用(薬疹)」さえも引き起こすおわりに:心と体、その見えないつながり