1.論文のタイトル:Distribution of Acute and Chronic Kidney Disease Across Clinical Phenotypes for Sepsis2.Citation:CHEST 2024; 166(3):480-490
要約
本研究は、敗血症患者における**4つの臨床表現型(α、β、γ、δ)**と、急性腎障害(AKI)、急性腎疾患(AKD)、**慢性腎臓病(CKD)**の発生頻度および関連性を調査した二次解析です。敗血症性ショック患者1,090名を対象とした分析の結果、腎疾患の分布は表現型によって大きく異なることが明らかになりました。
δ(デルタ)型とβ(ベータ)型ではAKIの頻度が非常に高く(それぞれ78%と71%)、これに対しα(アルファ)型は26%と最も低い数値を示しました。特にδ型は、AKIからAKD(発症後7日時点での腎障害の持続)への進行が最も多く、過剰な炎症や凝固異常が関与している可能性が示唆されています。
一方でβ型は、基礎疾患としてのCKDの頻度が最も高く(53%)、高齢で合併症が多いという特徴があります。この既存のCKDによる腎予備能の低下が、新たなAKI発症の要因となっていると考えられます。これに対し、α型とγ(ガンマ)型は、AKIの発生頻度が低く、AKDへの進行も少ないことが示されました。
予後に関しては、表現型にかかわらずAKIの発症は死亡率の上昇と強く関連していますが、表現型ごとに腎障害のメカニズムやリスクが異なるため、将来的にはこれらの分類を**治療戦略の個別化や、特定の治療薬の効果を検証する臨床試験の患者選別(エンリッチメント)**に活用できる可能性があると結論づけられています。