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Sepsis-induced coagulopathy and outcomes – What about bleeding? A propensity score-matched study in critically ill patients with septic shock

J Crit Care 94 (2026) 155542

本研究は、敗血症性ショック患者における敗血症誘発性凝固障害(SIC)の有病率を明らかにし、ICU入院時のSICがその後の罹患率および死亡率とどのように関連するかを調査したレトロスペクティブな観察研究である。スウェーデンの大学病院において、2011年から2024年の間に敗血症性ショックで入院した成人患者1,367名を対象とした。

解析では、背景因子の偏りを調整するために傾向スコアマッチングを用い、SIC群と対照群をそれぞれ340名ずつ選出した。その結果、入院時におけるSICの有病率は31%であった。主要評価項目である28日死亡率については、SIC群が44%、対照群が37%であり、統計的な有意差は認められなかった(p=0.091)。しかし、二次評価項目において、SIC群はICU死亡率が有意に高く、昇圧剤を使用しない日数も少なかった。特筆すべき点として、SIC群では「重大な出血イベント」の発生率が有意に高く(17%対10%)、赤血球輸血を必要とした患者の割合も多かった。結論として、SICは敗血症性ショック患者の約3分の1に認められ、ICU死亡率の増加や出血リスクの上昇、輸血需要の増大と関連していることが示唆された。

内的妥当性本研究は1,300名を超える大規模なコホートを対象としており、傾向スコアマッチングを用いることで、年齢、併存疾患、乳酸値、ノルアドレナリン投与量などの重要な背景因子を両群間でバランスよく調整している点は高く評価できる。しかし、単一施設での後方視的調査であるため、未測定の交絡因子によるバイアスを完全には排除できない。また、出血イベントの定義として「1日に2単位(670mL)以上の赤血球輸血」という代用指標(サロゲートマーカー)を用いている。この定義では、貧血に対する通常の輸血と実際の出血を厳密に区別できていない可能性があり、血漿や血小板の輸血が含まれていないことも評価の限界となっている。さらに、入院後の経過でSICを算定する際に、一部のスコア項目(SOFAスコア)の欠損により簡略化された基準を用いている点も、診断の正確性に影響を与える可能性がある。

外的妥当性スウェーデンの高度な救急・集中治療体制(大学病院)における13年間のデータに基づいているため、同様の医療環境を持つ地域への一般化可能性は期待できる。一方で、研究対象となった集団の死亡率(37~44%)が先行研究よりも著しく高く、非常に重症度の高い患者群に偏っている。このため、より軽症な敗血症患者や、医療資源・輸血戦略の異なる他国の施設にこの結果をそのまま適用することには慎重であるべきである。また、敗血症の定義としてSepsis-3を用いているが、各国の診療ガイドラインや文化的な違い(例えば日本における日本版敗血症診療ガイドラインの運用など)によって、SICの診断頻度や治療介入の内容が異なる可能性がある。