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『目の眩んだ者たちの国家』



キム・エラン/パク・ミンギュ/ファン・ジョンウン/キム・ヨンスほか|矢島暁子・訳|新泉社|2018年5月10日



朗読箇所:キム・エラン「傾く春、私たちが見たもの」(P.11-23)





「どれほど簡単なことなのか。希望がないと言うことは。この世界に対する信頼をなくしてしまったと言うことは」

──ファン・ジョンウン





国家とは、人間とは、人間の言葉とは何か──。韓国を代表する気鋭の小説家、詩人、思想家たちが、セウォル号の惨事で露わになった「社会の傾き」を前に、内省的に思索を重ね、静かに言葉を紡ぎ出す。





〈傾いた船、降りられない乗客たち〉





「私たちは、生まれながらに傾いていなければならなかった国民だ。傾いた船で生涯を過ごしてきた人間にとって、この傾きは安定したものだった」

──パク・ミンギュ



「みんな本当は知っているのに知らないふりをしていたり、知りたくなくて頑なに知らずにきたことが、セウォルという出来事によって、ぽっかりと口を開けて露わになってしまったのだ」

──ファン・ジョンウン



「私たちが思う存分憐れみを感じられるのは、苦痛を受ける人たちの状況に私たち自身が何の責任もないと思うときだけだ」

──チン・ウニョ





「『理解』とは、他人の中に入っていってその人の内面に触れ、魂を覗き見ることではなく、その人の外側に立つしかできないことを謙虚に認め、その違いを肌で感じていく過程だったのかもしれない」

──キム・エラン





【目次】



- 傾く春、私たちが見たもの|キム・エラン

- 質問|キム・ヘンスク

- さあ、もう一度言ってくれ。テイレシアスよ|キム・ヨンス

- 目の眩んだ者たちの国家|パク・ミンギュ

- 私たちの憐れみは正午の影のように短く、私たちの羞恥心は真夜中の影のように長い|チン・ウニョン

- かろうじて、人間|ファン・ジョンウン

- 誰が答えるのか?|ぺ・ミョンフン

- 国家災難時代の民主的想像力|ファン・ジョンヨン

- じゃあ今度は何を歌おうか?|キム・ホンジュン

- 永遠の災難状態:セウォル号以降の時間はない|チョン・ギュチャン

- 精神分析的行為、その倫理的必然を生き抜かなければならない時間:抵抗の日常化のために|キム・ソヨン

- セウォル号の惨事から何を見て、何を聞くのか|ホン・チョルギ



- 本を編んで|シン・ヒョンチョル(季刊『文学トンネ』編集主幹)





https://www.shinsensha.com/books/1043/





企画・朗読:若林恵

録音・編集:山口宜大(Magic Mill Sounds)

音楽:yasuhiro morinaga + maiko ishii

黒鳥福祉センターにて収録