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染色工芸家で人間国宝でもある芹沢銈介さんの言葉に、日本のイノベーターの真髄を見た気がしました

"わたしはね、いつもこういうことを考えているんですよ。

たとえば、染なら染の仕事の職人をふやしていって、藍をやる人は藍の仕事をし、型紙の人は型紙の仕事、糊の職人は糊おきの仕事をする、そういうようなひとつの協団的な仕事に自分の染を育ててゆく方法にすすみたいとおもうんです。

それでありながらやはり自分がいなければ、できないような―そういう位置に自分をおく仕事をしたいと思います。

つまり、どんどん染物を染めていって、自分というものなどは、品物のかげにかくれてしまうような仕事をしたい。これが長年ののぞみなのです。"

ここからわたしは思いました

1、仲間との分業

2、あくまでも自らのパッションが起点

3、品物に大義あれ

パリの個展では、マチス、ブラック、クレーに匹敵するとまで言われた芹沢銈介の染め物ですが、このような価値観で作られていたのか、ということを知ってとても感動しました

一つは仲間との分業の大切さを教えてくれている気がしました。イノベーター3つのフレームでおはなししている、パッション、仲間、大義の中の、イノベーションは全て1人でやる必要はなくて、得意な人が分業することで、大きく育つ、ということをまさに目指されていたのだなと思いました

また、それだけではなく、自らのパッションについても、とても大切にされていたのだと思いました。とかく、組織になると、個人の個性やパッションよりも、組織のミッションが中心になっていくこともままありますが

組織のミッションも大切だけれども、あくまでも個人のパッションがあること、組織のミッションとのベン図の真ん中を狙ってること、それが大事で、それこそが多様なイノベーションの源泉と思っているので、まさにその通りと思いました

最後に、自分は品物の陰に隠れていい、との言葉は、いってみれば、品物にこそ大義がある、と言われているのかと思いました

つまり、自らの名前が世に出ることよりも、そこでみんなの力で作られた品物、作品、仕掛け、ソリューション、こそが大切なわけで、大義となっては自らはどうでもいい、そんなことを教えて頂いた気がします

内村鑑三さんの言われる、後世への最大の遺物は、思想、お金、事業、生き様とありましたが、自らが仲間と作り上げたなんらかのこれまでにない価値、それさえ残れば、自分は幸せである、そんなことを教えて頂いた気がしました

これは、会社の中でも、たくさんの人たちの手で作り上げて運営している、例えば巨大なインフラ設備やインフラサービスでも、言えることなんじゃないか、そんなことも思いました

スペシャルな仲間がいて、自分なりのパッションが炸裂してて、大義ある品物、作品、ソリューションができれば、自らの名を遺すことよりも、素敵なことなのだ、そんなことを教えてくれた気がしました

自分は大義の影に隠れるノベーション

そんなことを思いました^ ^

参考: 静岡市芹沢銈介美術館https://www.seribi.jp/serizawa-kotoba.html

参考:「芹沢銈介氏について」(「月刊民藝」1940年1月号 日本民藝協会)