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国宝薬師寺東塔の全解体修理を担った薬師寺 宮大工 石井浩司さんの言葉に胸が詰まりました

曰く

"自分の身に変えてでもこの塔を建てますよと、

だからこの地を安穏の地にしてくださいと、そういう思いで、みんながそういう思いでやったから"

"それで少しでも、家内の人生が長引くなら、もしかして良くなるのなら、それに代えられるなら、僕はなんでもやります、という思いで仕事してましたね"

ここから私は思いました

1、利他パッション

2、当事者意識

3、パッション継承

1300年の歴史を誇る国宝薬師寺の修繕は、部材1万点を解体して修繕して組み直すという途方もない作業なのですが、こんな思いで乗り切ったというお話にめちゃくちゃ感動しました

奥様の体調が優れない中での本当に過酷な仕事だったと思うのですが、それを支えていたのが、奥様のご無事を願う究極の利他パッションだったのかもしれないなと思います。

1300年の歴史の中で、そのような祈りとしての利他パッションは、きっと古の頃より薬師寺の東塔に来られた方々の気持ちと、重なったのかなと思いました

以前の師匠より、作った人の気持ちにならなきゃダメだと言われていた中で、奥様を思う気持ちが、東塔で1300年間毎日行われてきた皆様の祈りと重なることで、そこにまさに圧倒的な当事者意識が生まれて、この困難なミッションを達成できたのだなと思いました

この当事者意識を持つことは、イノベーション創発の中でもとても重要なことだと思います。以前コンサルにいた際は、じゃあ、お前はそれを使いまくったのか?と良く言われました。

デザインシンキングの世界でも、エスノグラフィーなどで、ユーザーにへばりついて何日も撮影をしたり、ヒアリングをしたりしますが、それも当事者意識をいかに持つかということへのアプローチかと思います

石井さんは、まさに当事者になられながら作られたのだ、そんなふうに思いました

ここから思うのは、古の宮大工さんのパッションを、見事に継承されたのだなあということです。その時代のことを想像し、そして自らの思いと重ね合わせることで、その境地に達せられたのだなあと

イノベーションの中では、ビジネスアイディアや戦略づくりと、構築や実装の人がまま変わる場合がありますが、この際にパッションが継承されない問題を沢山見てきました

今回のお話は、それへの有効な処方箋になるのではないかと思います。つまり、パッションが継承されない真の課題は、当事者意識を持たせれないことにある

とすれば、どんな方法で当事者意識をもたせられるか、それが鍵を握ることになると思います

パッションは継承できない、とこれまで言ってきましたが

パッションは当事者意識で継承できるノベーション

その方法は、いろんな方法がありますが、薬師寺のように1300年も前の人のパッションの当事者意識になるのは本当に難しいですが

同じ時代を生きてる人なら、当事者意識が生まれる際に、継承すべき人がいる状態を作り出すことが、一つの答えにもなるかなと思います

そんなことを話してます^ ^

参考:新プロジェクトX  祈りの塔 1300年の時をつなぐ~国宝薬師寺東塔 全解体修理 初回放送日:2024年8月31日 https://www.nhk.jp/p/ts/P1124VMJ6R/episode/te/VKGGY83M6P/