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マシュー・サイドさんの「失敗の科学」から、著名な心理学者ゲイリー・クラインが提唱した「事前検死(pre-mortem)」について衝撃を頂きまきた

曰く

"これは「検死(post-mortem)」をもじった造語で、プロジェクトが終わったあとではなく、実施前に行う検証を指す。あらかじめプロジェクトが失敗した状態を想定し、「なぜうまくいかなかったのか?」をチームで事前検証していくのだ。"

"この事前検死は、「失敗するかもしれない」と考えるのとはまったく異なる。チームのメンバーは「プロジェクトは失敗した」「目標は達成できなかった」と伝えられ、いわば「すでに死んでいる」状態から始まって、検死(検証)を行う。このように失敗という抽象的な概念を具体化すると、問題に対する意識の持ち方が変わる。"

ここから私は思いました

1、逆転の発想

2、具体と抽象の往復運動

3、心理的安全性

"お前はすでに死んでいる"は、めちゃくちゃ私もハマっていたケンシロウの言葉ですが、それを地でいくソリューションがあるとは、驚愕でした

これは、まさに、逆転の発想、の典型例だなあと思いました。普段は、如何に成功するか?ばかりを考えているチームに、この提案をするのは、ともすると、後ろ向き発言!などと、怒られかねない、話だなと。

しかし、実はこれをポジティブに実施することによって、さまざまなこれまでにない効果を創発することができる、というのは、本当にイノベーティブなだなあと思います

その効用のとても大きいものの一つに、具体と抽象の往復運動があると思いました。普段は漠然と考えている失敗というものを、一度きちんと見据えて、みんなで具体化してみようということで、より明確に失敗像が明確になってくると思います

さらにそこから、プロジェクトにおける真の失敗は何なのか?という意見交換をすることで、さらに抽象的な失敗の方向性ということを、みんなで共有することができるのも、我々は何に向かおうとしているのか?また、我々の真の失敗は何か?ということまで、みんなの議論と意識合わせができると、すごく強いチームになる気がしました

そしてもう一つの効果は、心理的安全性かと思います。目に見えないものほど、怖いものはないので、ここで失敗という悪魔の姿を、みんなで明らかにすることで、死の恐怖を乗り越えることができる、そしてそれはみんなでやることによって、チームとしての心理的安全性を高めることができる、そんなことを思いました

イノベーションの世界では、FastFailという言葉もありますが、"事前検死"は、いわゆる早過ぎるFastFailであり

逆転の発想からの、具体と抽象の往復運動を促し、心理的安全性をも確保する、めちゃくちゃイノベーティブな手法と思いました

一言で言えば

"お前はすでに死んでいるノベーション"

そんなことを思いました^ ^

参考:本: 失敗の科学 2016年12月25日 初版第1刷発行 2016年12月25日 電子書籍版発行 A著者 マシュー・サイド  株式会社トランネット(翻訳協力)   発行所 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン