ミュージカル イリュージョニストのめちゃくちゃイノベーティブな内容に、衝撃を頂きました
"何のために人は嘘をつき、仮面を被り、虚構を作り上げるのか。"
"イリュージョニスト・アイゼンハイム(海宝直人)は、興行主ジーガ(濱田めぐみ)と共に世界中を巡業していた。ウィーンでの公演中、偶然にもアイゼンハイムは幼い頃恋心を寄せ合った公爵令嬢、ソフィ(愛希れいか)と再会する。 だが、ソフィはオーストリア皇太子レオポルド(成河ソンハ)の婚約者となっていた。"
ここから、私は本作のイノベーティブなポイントについて思いました
1、現実と虚構の曖昧さ
→ ボードリヤールの「シミュラークル」
2、虚構による情熱の源の追求
→ サルトルの「実存は本質に先立つ」
3、時間と運命の操作
→ニーチェの「永劫回帰」
主役の海宝直人さん、そして愛希れいかさん、濱田めぐみさんの歌声が素晴らしすぎて、それだけでも感動だったのですが、物語と演出がまさにイリュージョンで、幻惑されっぱなしで、衝撃を頂きました
主役のイリュージョニストのアイゼンハイムは、魔法のようなイリュージョンをして観客を魅せる役柄なのですが、物語自体が、これは現実なのか?虚構なのか?わからなくなる絶妙な演出で、境目がわからなくなる体験でした
フランスの哲学者ボードリヤールが、「現実の代替物が現実そのものよりもリアルに感じられるとき、シミュラークルが完成する。」と言われているように、現実に生きていると思ってる自分自身、これが本当に現実なのか、わからなくなるなあと思ってしまいました。
以前、満島ひかりさんが言われていた、"人生は茶番よ"(人生は茶番ノベーション(1158回))の言葉のように、何を信じていいのか?ではなく、その場を楽しんでいく、そんな心持ちが大切かもしれないなあと思わせて頂きました
また、主人公は時の権力からの圧力にも、あくまでイリュージョニストととしての、生き方を貫いていく姿は、まさに自らの情熱の源に、あくまでも正直に生き続けていく自己実現を貫いていくことに、感動しました
ここがまたイノベーティブで、つまり、虚構で自己実現をしていく構造になるわけで、サルトルの実存主義のように、行動で自己実現を目指すのですが、その行動が虚構なので、虚構で自己実現を目指すという、逆サルトル的な構造ができてるなあと思いました
そしてもっともイノベーティブな点は、イリュージョンによって、時間と運命を操つるストーリーにあって、それはまるでニーチェの「永劫回帰」のように、「君はこの人生をもう一度、無数に繰り返して生きることができるか」という問いと向き合わざるを得なくなる、そんな体験に度肝を抜かれました
タイムリープものは、最近のドラマやアニメでもお馴染みで、私も大好きなのですが、あくまでもイリュージョンの中でそれを私は感じさせて頂き、驚愕の一言でした
ということで、ことごとく、イリュージョンとイノベーションに満ち溢れた作品であり、かつミュージカルの歌が劇的に良いという、贅沢な体験をさせて頂きました
私はよくビジネスの際に、イリュージョンを創ろう、と言う話をしていたことがあって、嘘をつくわけではないけれども、驚きとワクワクと最後には幸せな感じができればいいなあと、思ってて
イリュージョンは、ビジネスにも、さまざまな場面にも、実は工夫次第で使っていける素敵なものだなあと思いました
一言で言うと
イリュージョンで権力への対抗もできるし、幸せを作ることができる、そこに必要なのは諦めないパッションと研ぎ澄まされたスキルである
幸せを創るイリュージョン・ノベーション
そんなことを思いました
参考:ミュージカル「イリュージョニスト」 脚本/ピーター・ドゥシャン 作詞・作曲/マイケル・ブルース/演出/トム・サザーランド 出演 海宝直人、愛希れいか、濱田めぐみ他 日生劇場 企画・制作:梅田芸術劇場主催 http://illusionist-musical.jp
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