イギリスの卓球選手でもあり、英『タイムズ』紙の第一級コラムニスト、ライターでもあるマシュー・サイドさんから、イノベーションの重要な要素を教えて頂きました
"イノベーションは、社会的ネットワークの中で大勢の多様な頭脳が生み出す創造力の賜物だ。人類進化生物学の専門家、マイケル・ムスクリシュナとジョセフ・ヘンリックは、この頭脳のネットワークを「集団脳」(集団的知性)と呼ぶ。"
"イノベーションは従来、トーマス・カーライルが唱えたように、「偉人」――ほかの人間を凌ぐ偉大な思想家や天才発明家――の知力によって、あるいはそうした一個人の超人的な努力によって生まれると考えられてきた。
つまり、先達の肩を借りはするものの、みな個人の洞察力、個人の才能によって新たな未来を開いたとされてきた。
しかし我々は(中略)異議を唱えたい。そうした「個人」は集団脳の産物であり、それまでつながることのなかった数々のアイデアが連鎖した結果であると"
ここから私は思いました
1、偉人は集合脳
2、アイディアの連鎖
3、連鎖の環境
1、偉人は集合知
よく優れた発明は、巨人の肩にのるというような表現をされますが、実は肩にのってるどころか、それまでの歴史や周りからの人々がいるからこそ、偉人が輝くことができた、ある意味そういうタイミングが合致することが起きたので、偉人と言われるようになったと、いうことには衝撃を受けました
哲学者のジョン・デューイさんが言われるように「知は社会的に構築される」という考え方からしても、知識やアイデアは、個人が孤立して生み出すものもあるけれども、多様な共同体の対話を重ねる中で実はの中で進化を遂げている、集団脳なのだなあと改めて教えて頂きました
2、アイディアの連鎖
シュンペーターさんが言われてるように、既存のアイディアと既存のアイディアが、組み合わさることがイノベーションなのですが、それが個々の中で一度組み合わさることよりも
さまざまな人たちがいる中で、しかもそれぞれが次々と重ねて連鎖をしていくことが起きることで、これまでにない進化的なアイディアが次々と生み出されていく、そんな構造を作れるかどうかが
量は質を超える、とイノベーションの世界ではよく言われますが、そんな世界を作っていくことができるのだなあとも思いました
3、連鎖の環境
そう考えると、いかにその連鎖が起きるような環境づくりをすることができるか、または、そん近況に自らの身を置くことができるかが、イノベーターを目指す人にはとても大切なんだろうなと思いました
多様なバックグラウンドを持つ人たちの混ぜ合わさるような仕掛けや場づくり、また企業を超えたオープンイノベーションの仕掛けづくり、世代を超えた交流の仕掛けづくり
さらにそれだけではなく、時間を超えた人たちやノウハウが蓄積しながら混ぜ合わさる仕掛けづくりが、実はイノベーション創発には欠かせない、どころか、それを実現した企業や組織が新たなイノベーションを起こせる、ということを改めて認識させていただきました
イノベーター3つのフレームにおける、パッション、仲間、大義、における、仲間の存在が、いかに大きいのか、と言うことを思い知らされました
そして、横軸としての空間的な広がりと、縦軸としての歴史も含めた時間的広がり、これをいかに連鎖の環境として作れるか、そんなことを思いました
今私が進めている、イノベーター創発WGも、必ず毎年積み上げることが大事としてやってます。次年度には、前年度の人がチューターとして入ることによって、時間的にもアイディアが積み上がっていく、そんな仕掛けづくりが大切かなと思ってます
一言で言うと
空間や時間を超えた集団脳ノベーション
そんなことを思いました
参考:本: 多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織 2021年6月25日 著者 マシュー・サイド 翻訳 株式会社トランネット(翻訳協力) 発行所 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン
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