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芥川賞作家の市川沙央さんの、"分断が進む社会に対する"考え方について、心震えました

曰く

"ナイフを持って目の前に立っているのでないかぎり、意見の違う人とでも友人知人になれるはずだ」が私の信条です。

それは私自身がだいぶ危険な人間だからです。

というのは冗談ですが。

私はいま文芸界というところにいるのだと思いますが、おそらくイデオロギー面では、私は文芸界の主流の人たちとは相反するものを抱えて生きてきた人間でもある。

しかし私という人間の考えもモザイク状ですし、多くの人は、けして一色に染まっているわけではなくてモザイク状で、揺らぎがあるはずです。

揺らぎがあってほしい。

SNSの分断扇動アカウントには揺らぎがなくて気色悪いですよね。

みんな、もっと揺らぎを見せてくれ、と思いますね。"

ここから私は思いました

1、違いは新たな出会い

2、分人主義

3、揺らぎある信念

1、違いは新たな出会い

実は以前もこのチャネルで芥川賞をとられた"お話しさせて頂きました市川さんの 『ハンチバック』を読んだ衝撃についてお話をさせて頂いたのですが、最初にナイフの話を持ってくるあたり、今回のお話も更なるロックスピリッツをカッコいいなあと感じさせて頂きました。

"意見の違う人"と相対するのは、できるだけ避けたいと思うし、ビビリな私は思わず逃げてしまいがちですが、市川さんの言われるように、必ず友人知人になれるはず、と言う信念を持つことができれば

それはまた、これまでと違った人との新たな仲間になれるチャンスと考えることができるので、実は、それはワクワクする出会いが訪れたことだと思うこともできるなあと、ポジティブに捉える方法を教えて頂いた気がしました

2、分人主義

"モザイク状"の話から、小説家の平野啓一郎の言われる分人主義を思い出しました。実は自分は、各々接する人に合わせて、さまざまな分人に分かれて接している、だから本当の自分なんてない、いやむしろさまざまな自分が本当の自分、と言う話はとても好きなお話です

「あなたといる時が本当の自分に感じるの」みたいなセリフもありますが、それも単なる1人の自分。だからこそ、実は自分は"モザイク状"に普通に変化しているし、「私の信念は揺るがない」みたいなことは実はないし、その時々によって、好きな分人と、嫌な分人がいるだけ。できるだけ好きな分人でいる時間が、幸せだなあってことなのかと思います。

そう考えると、新しくもしかして意見が違う人が現れた時には、逃げたいなあと思ったら、逃げたい分人が出現し、いやこれから面白くなるぞと思えば、ワクワク分人が出現することもできる、そんな風に思いました

3、揺らぎある信念

とすると、「揺るぎない信念を持て」といういうのは、一見カッコよく思えなくもないのですが、実は自分の分人を制限しているだけで、本当は別の分人を出すことができるはずなのにやらない信念、みたいなことになっちゃうなあと思ってしまいました

誰か知らない人がいたとして、意見が違うことが分かったとしたときに、信念と違う!として、ネガティヴ分人を出してしまうのか、それとも、あ、違うんだあ、そうなんだ、どうして違うんだろうと、ワクワク分人が出動して、どんどん"揺らいで行く"

それは優柔不断とは違って、アウフヘーベンのように意見の違いを理解した上で否定なしに、第三の道を探る分人が、大活躍するような、そんな"揺らぎ'分人を積極的に肯定していく

お互いがそんな"揺らぎ分人"で揺らぎながらいつのまにか、友人、仲間になっていく、そんなことができる世の中になったら、素敵だなあと、思わせて頂きました

一言で言うと

分断を超える"揺らぎ"ノベーション

そんなことを思いました^ ^

参考: NHK Eテレ東京 こころの時代 命の声を届ける 作家・市川沙央 2025/4/12    https://www.nhk.jp/p/ts/X83KJR6973/episode/te/Y148QNGXVQ/