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めちゃくちゃイノベーティブなバスツアーなどを企画されてる平成エンタープライズの田倉貴弥社長の考え方に目から鱗が落ちました

曰く

"経営は父をよく見ていて、これをしちゃいけない”というのがあった。

父はお金に困って、年中“金策”をしていたので、僕は会社を始めたら、お金を一切触るのをやめようと思って、お金は今でも 一切触らない

会社の通帳も見ない。経理の人に任せて、僕はお金を見ないで生きている社長。

お金を気にすると営業ができない。お金を見ちゃうので。お金が今ないとなったら、脳が「お金に困った」となってモチベーションが下がる。

お金を見ないモチベーションのまま行く"

ここから私は思いました

1、未来志向

2、レジリエンス経営

3、行動デザイン

1、未来志向

広くてリクライニングでリラックスできる深夜バスと、そのVIPラウンジを作ったり、トンネルで頭スレスレのルーフトップバスのスリリングなツアー、さらにはお寿司屋さんと自らが育ててる苺狩りのセットツアーなどなど、イノベーティブな企画満載にまずは、度肝を抜かれ、その発想の原点をことインタビューから、頂いた気がしました

まずは、徹底的な未来志向なのだなあと言うことを思いました。以前、名和高司さんのお話から”未来志向のパーパス”ノベーション(1461回)のお話をしましたが、現状の制約条件を一旦取っ払うことで、本当に未来でありたい姿を、創発することができる、と言うことだと思いました

特にお金の問題は、一番現実に引き戻される話なので、そこをあえて考えずに、未来の企画を次々と打っていくと言うのは、真にイノベーティブな経営には必要だなあと思いました

2、レジリエンス経営

また、これは、ある意味、レジリエンス経営の一つでもあるかとも思いました。米国の心理学者のダニエル・ゴールマンさんがHBRで言われた「レジリエンスとは、困難な状況に直面した際、感情的な動揺を最小限に抑え、状況に柔軟に対応する能力である。」

ということから、自らの感情的な動揺を最小限に抑える中で、新たな打ち手を考える為には、ある程度、お金のことは、経理に任せて、自らは新たな企画に専念するというのは、一つのレジリエンスへの対応なのかもしれない

もちろん、最後の責任を取るのは、社長なので、ある意味、経費や財務を担当してる社員を、本気で信じている、と言うことの裏返しかもしれないとも思いました。

3、行動デザイン

そう考えると、このやり方こそが、平成エンタープライズにおける、レジリエンス高い経営のやり方ということで、行動デザインがされているとも考えられるなと思いました

行動デザインというと、ナッジの研究等でノーベル経済学賞を取られたリチャード・セイラー教授が、ナッジ『実践 行動経済学』で言われているとおり

「私たちの行動は、目に入る情報や環境によって大きく左右される。不要な情報を遮断することは、意図的な選択行動を支える強力な手段である。」

とのことなので、田倉社長があえてお金のことを目に入らない情報として、新たなイノベーティブに企画を繰り出し、そしてお金の業務は、経理、財務が責任を持って、信頼関係をもって担う

そんな行動デザインが、組織として出来上がってるのかもしれないなと思いました

このデザインは、その会社一人一人の特性によって全然違うものになるべきなので、他から見てもイノベーティブでも、当該企業においては普通のことである、そんなデザインが大切だなあと、つくづく思いました

ということで、今回の考え方の象徴的な表現として、一言でいうと

お金は見ない経営ノベーション

そんなことを思いました^ ^

参考:テレ東 カンブリア宮殿 新たな旅の楽しみ方 第1弾 幸せを徹底追求!異色バス会社 平成エンタープライズ 社長 田倉 貴弥 https://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/smp/

参考: Resilience for the Rest of Us」『Resilience (HBR Emotional Intelligence Series)』

参考:本: リチャード・セイラー『ナッジ 実践 行動経済学』2022/11/17 出版 日経BP

動画で見たい方はこちら

https://youtu.be/IAsISc2YejE