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アダム・グラントさんより、シカゴ大学の経済学教授デイビッド・ガレンソンが、若き天才イノベーターと大器晩成イノベーターに関するお話がとても刺さりました。

曰く

"概念的イノベーターは、大胆なアイデアを思い描いてそれを実行に移すというタイプだ。 実験的イノベーターは、試行錯誤をくり返して問題解決を行ないながら学び、進化を遂げていく。

ガレンソンは、概念的イノベーターは短距離走者で、実験的イノベーターはマラソン走者であるという。

概念的イノベーターが年齢を重ね、若いころのような目覚ましい業績を達成できなくなるのは、魔法の薬が切れるからではない。蓄積された経験が影響を与えてしまうためだ……概念的イノベーターの真の敵は、考え方が定着してしまうことである……概念的イノベーターは、初期の重要な業績にとらわれてしまう可能性がある。

反対に、実験的なイノベーションは、必要な知識とスキルの蓄積に何年も何十年もかかるが、オリジナリティの源泉として、より長続きする。"

ここから私は思いました

1、新奇性バイアス

2、確証バイアス

3、概念的×実験的

1、新奇性バイアス

若き天才現る、とか、神童だ!とか、とかく私も大好きなお話ですが、何故そこに魅力を感じてしまうのだろうと思ったときに、

カーネマン&トヴェルスキーの研究に基づく、ダニエル・カーネマンさんの『ファスト&スロー』(2011年)を思い出しました

「我々の思考は、過去の経験に照らして新しい情報を過剰に評価しがちである。特に若年層の大きな成果は“予想外の出来事”として強く記憶される」

意外性とともに、ある意味、生まれながらの神格化されるような、そしてこれからさらにすごくなるのではないかと言う、期待感も含めて、ワクワクすると言うことはあるなあと思いました。

ところが、それが実は続かないことも多いと言うのが、考え深いところです

2、確証バイアス

ニック・シャクルトン=ジョーンズさんが、『The Science of Learning』(2019年)の中で

「人は過去の成功体験や信念に合致する情報ばかりを選択的に受け入れ、それに反する新たな情報を無意識に排除しがちである」

と言われているとおり、いわゆる成功体験というものの呪縛からなかなか抜け出せないというは、どんな人にも起こるのだなあと思いました

いわゆる確証バイアスと言われているものですが、よく言われるのは、大企業の中である程度の成果をだされて、良いポジションになられた方が、若き頃の経験に照らし合わせて、新しい考えを受け入れられないみたいな

なので、新規ビジネスは、上司には相談するな、という定説まであったりします

でもそれは、きっと誰にでもあることであり、若き天才と言われた方にも、実はそれは実際に起こっているのだという改めて認識させていただきました

3、概念的×実験的

欧米で、ベンチャー起業家の成功する割合が高いのは実は40代という話も以前お話ししたかと思いますが

実は若き天才イノベーター、すなわち概念的イノベーターがいて、世間の注目を集める一方で、熟練の経験を積んだ上で起業や新たなチャレンジをしていく、実験的イノベーターも実は沢山でできていると思います

若きジーニアス達はとにかく凄いスピードでいろんな構想を試しながら進みますし、熟練なベテラン達は突っ込んだ専門的な分野や長年培ってきたスキルやノウハウで老練な進め方を熟知しているので、各々とても面白いです

私が主催しているStartup Emergence Ecosystem(SEE)にも、両方の方が同じ比率くらいでご登壇されていますがその方達が、お互いの良い面をうまく混ぜ合わせることによって、もっと面白いことが起きるのではないかと思って、そんな場所にできたらいいなとも思っています

一言で言えば

概念的(若きジーニアス)×実験的(熟練のベテラン)ノベーション

そんなことをお話ししています^^

参考:本:ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 電子書籍版  発行日 2016年6月22日  著者 アダム・グラント 解説者 シェリル・サンドバーグ 監訳者 楠木建

動画で観たい方はこちら

https://youtu.be/WHg5GQ8fDSw