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マーガレットアトウッドのディストピア小説「侍女」の話題で、翻訳家の鴻巣友季子さんの言葉に衝撃を頂きました

"シェイクスピア研究者のスティーブングリーンフラットっていう人がですね。「暴君」っていう本を書いてるんですね。こんなこと言ってます。

暴君は決して 1人で誕生するのではない。そこには必ず支援者がいる。この支援者って誰かっていうと

・疑うことをしない人。

・それから、すぐに忘れてしまう人

・あと、このままで大丈夫だと思い込む人。

・そして、面倒を避けたい人。

もう空が落ちますよって、言われているのに何もしない人っていうのも、実は暴君を誕生させてしまう支援者の 1人なんだということなんだと思うんですね。"

ここから私は思いました

1、無関心

2、沈黙と回避

3、違和感に声をあげれるか

1、無関心

確かに、もう自分が何をしても無駄だよね、とかと思ってしまうと、もういいや、と言う無関心が顔出してるなあと、つくづく思いました

そこで思い出されるのは、社会心理学者のラタネさんとダーレイさんが言われた「傍観者効果」です

「個人が集団に属していると、責任の分散が生じ、援助行動が抑制される。」(1970)

面倒なことであればあるほど、自分がやらなくても、と言う気持ちが生まれてしまうなあと、思ってしまうと。

と、いうことは、みんな思ってる、ということに気づかなきゃいけないということかと思いました

2、沈黙と回避

いや、無関心ってわけではないんだけど、自分にいま、直接的に何かあるわけでないし、ま、いっか、みたいなことも、身につまされるなあと思いました

組織論において、エリザベート・ノエル=ノイマンさんは、「沈黙の螺旋理論」という話をしています。

「人々は社会的孤立を恐れるがゆえに、支配的な意見に反する見解を口に出さなくなる。」 (1984)

そして螺旋階段のように、どんどん話を挟みにくくなっていく。最初に言っておけば、または、こんなことになるとは思っていなかった、的なことから、さらに無関心になっていく

これは会社や身近な活動でも小さくても頻繁に起こってるかもしれないなと

それが意図してるか、してないかに関わらず、全体として変な方向へ向かっていくことを、実は支援していた、支援者は実は私だ、ということは、本当に恐ろしいことだなあと思いました

3、違和感に声をあげれるか

イノベーターの最初のステップは、違和感に声を上げられるか、というところがあると思います。言い方を変えると、問いをたてられているか?ということにもなると思います

実は、そんな行動は、別にイノベーターじゃなくても、実は自らの生活や社会を、変な方向へ向かわせないための、基本的な行動としてあるのだなあと、今回とても勉強になりました

違和感に問いを立てれば誰もがイノベーターになれるとともに、誰もが問いをそのままにしてはいけない

政治哲学者のハンナアーレント曰く、「思考をしないことこそが、悪の最も恐るべき要素である。」『イェルサレムのアイヒマン』(1963年)と言う言葉が響きます

一言で言うと

無関心は暴君の支援者となるノベーション

そんなことを思いました^ ^

参考 :NHK 100分de名著 アトウッド“侍女の物語”“誓願” (1)すぐそこにあるディストピア 初回放送日:2025年6月2日 https://www.nhk.jp/p/meicho/ts/XZGWLG117Y/episode/te/MYRKL3KN48/