アートアドバイザーの奥村くみさんから、向田邦子さんの『伯爵のお気に入り』の中にある「手袋をさがす」というエッセイの紹介にめちゃくちゃ感動しました
曰く
"こだわりの強い向田氏が好みの手袋が見つからず、手袋なしで真冬を過ごすところから始まるこのお話"
"頑として手袋を買わない向田氏に、当時の上司がやんわりとしたお説教。「そんなことでは女の幸せを取り逃がすよ」"
"普通に結婚してそれなりの幸せを手にし、周りも納得の人生。妥協すれば(手ごろな手袋を手に入れるように)いいのだけれど、そうはできない向田氏の生きざまが、この手袋の一件に表されています。"
"その上司の一言がきっかけで、自身の短所ともいえる性格をすべて受け入れ、そのままの人生を生きていこうと決意する冬の夜。"
"このエッセイの最後の方にご自身たった一つの財産はいまだに「手袋をさがしている」こととあります。"
ここから私は思いました
1、自分の短所を受け入れる
2、信念を貫く勇気
3、財産は未完
向田邦子さんといえば、私の世代では、テレビドラマの『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』が、めちゃくちゃ強烈な印象として残ってて、大好きな脚本家です。樹木希林さんのジュリー、小林亜星さんの怖い父親、テレビの前で釘付けだったことを思いだしました
やはりイノベーティブな脚本家は、イノベーティブな人生を送られてるんだなあと、このお話を聞いてつくづく思いましました
1、自分の短所を受け入れる
自分自身の短所はコンプレックスになっちゃうので、出来るだけ触れないか、忘れたふりをする、さらには直ったふりをするみたいなことが、私の常でありますが、向田さんは積極的にそれを受け入れることが大切と教えてくれてるような気がしました
人の苦言はなかなか受け止めきれないものですが、まずはそれを自分自陣なのであると、開き直りではなく、ある意味、メタ認知をするところが始まりなのかなと思いました
アメリカの心理学者ロジャーズは、「自分を受け入れたとき、初めて変わることができる」と言われています
ジョハリの窓ではないですが、自分が見えてることと、人から見えてることは、明らかに違うので、受け入れたところから、全ては始まるということだなあと思いました
2、信念を貫く勇気
その上で、自らのパッションの源に問い合わせた時に、そこは成長パッションとして、どんどんアップデートしていこう、と思うことと
ここは誰に何と言われようと、私は譲れない、いやむしろ、譲りたくない、そんなパッションの源の琴線に触れることも出てくる気がします
その時に自分はどうするのか、ここが問われることになるとおもいます
ドイツ出身の社会心理学者エーリッヒ・フロムは、『自由からの逃走』の中で、「自由とは、外部の命令からの解放であると同時に、自分の内なる良心の声に従って生きる勇気である」
と言われています。
改善すべきこともあるけれども、自らのパッションの源の琴線に触れてて、これだけは譲れない、ことがあるなら、そここそが、うちなるパッションの源の声に従って、勇気を持って選択していく
それがとても大切なきがしました
3、財産は未完
そして最後の向田さんの言葉には震えました。"財産はいまだに「手袋をさがしている」こと'であると言い切れる、ある意味、未完であるからこそ、それを探し続ける、学び続ける、成長し続ける、それこそが大切なことなのだ、と教えてくれてる気がしました
岡倉天心さんよりの『茶の本』から、「完全であることは、どこか息苦しい。欠けているからこそ、心が動く。」
とわびさびの極意について教えて頂いているとおり、いまだに完全でないからこそ、美しいものがある。そして完全を目指しながらも到達できないことの中に、挑戦心やモチベーションが継続していく秘密がある、そんなことを思いました
ということで、
短所を受け入れながらも、自らの信念(パッションの源の琴線の部分は守る勇気を持って、そして永遠の未完成という挑戦を続ける
一言で言えば、
財産はいまだに「手袋をさがしている」ことノベーション
そんな風に思いました^ ^
参考:本: センスを磨く読書生活 私たちは本でできている 著 奥村くみ 2024年6月21日第1刷発行 発行所 株式会社オレンジページ
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