2024年に全米発明家殿堂入りをされた、日本が誇る世界的な発明家の高峰譲吉さんの言葉に震えました
曰く
"「発明なんて天才にしかできないよ」。そう考えるのは大きなまちがいです。発明は多くの場合、たった一人の力でできるものではありません。他者とコラボレーションして成しとげるものなのです。
研究しやすい環境と、応用の道を用意して、責任をもって人を育成すること。さらに、効果が十分に発揮される道すじを考えておくことが大切です。それには、管と民とが一体になることです。
アメリカもドイツも、国がその部分に力を入れました。ドイツの収入の主要部分は化学工業が占めていますが、これは国が一丸となって、基礎研発の大切さに気づいて取り組んだ結果です。
発明とは、寝て待つものでも、偶然から生まれるものでもありません。全国民が励ましあいながら突き進むことで、はじめて誕生するものなのです。"
ここから私は思いました
1、共創と仲間
2、環境と仕組み
3、全員イノベーター
1、共創と仲間
化学肥料の会社を立ち上げ、米国で麹を使ったウィスキーに挑戦し、そして挫折しながらも、画期的な胃腸薬の「タカジアスターゼ」を発明し、さらに今でも普通に手術などで必須に使われているかっこアドレナリン」まで発明された、めちゃくちゃ凄い発明家だとはつゆ知りませんでした
日本の研究開発型ベンチャー企業の大先輩、近代バイオテクノロジーの父、としての、イノベーションに関する上記言葉に、心が打ち震えました
高嶺さんが最初の化学肥料会社を作る最に、あの渋沢栄一さんに相談に行き、そして協力を頂けたところから、発明家人生が始まったように
イノベーションを起こしていく際には、必ず仲間が必要になると、思います。イノベーター3つのフレーム(Ripple Model)のように、最初に高嶺さんに揺るぎないパッションが生まれて、そして仲間としての渋沢栄一さんが応援してくれて、そして日本い、世界のたくさんの人たちの幸せを作る大義と共に、イノベーション展開していく、まさにイノベーターそのものだと思いました
社会学者ハワード・ベッカーは、芸術を含む創造的営為は「アート・ワールド(Art Worlds)」というネットワークの中で生まれる。つまり、芸術家ひとりの力ではなく、道具、観客、制度などとの「関係性の中」で成立する(1982)。
と言われているように、アートもビジネスもイノベーションも、一人の天才で成り立つのではなく、そこにたくさんの「仲間」がいるからこそ、成り立つ、そういうことなのだろうと思いました
2、環境と仕組み
イノベーションを促進する仕組みとして、ecosystemというものが必要だと、様々なところでお話がありますが、私はこのイノベーションを支える仕組み自体を、常日頃イノベーションしていかなければならないと思っています
ともすると、目的が手段化してしまって、イベントを成功させることが成功みたいな、本当に何を目指すためにやっていたのか、ということが、自戒もこめて曖昧になってしまうこともあるなあと思ってます
心理学者のテレサ・アマビールは、「創造性は、個人の資質だけでなく、環境の支援的要因によって左右される」と言われています。いかに環境としてのecosystemが大切かということかとおもいます
高嶺さんのこの言葉は、1907年に発せられた言葉ですが、今の我々が聞いた時に、本当に実現すべき大義が今のecosystemに機能としてあるのかというところを、いま、Startup Emergence Ecosystemと銘打ってる私が主催してるイベントも、常に問い続けなければいけないと思いました
3、全員イノベーター
発明とは、全国民が励ましあいながら突き進むことで実現できる、改めて高嶺さんのこの言葉に打ち震えました。
一人の天才に依存するものでもなく、一起業家にお任せするのでもなく、一人一人が、新たな価値を世の中に創り続ける意志を持つことがとても大切と受け取りました。
それは、ecosystemを運営する役割かもしれないし、画期的な発明した人が苦手なことを支援してあげることかもしれないし、役割はなんでもいいのだと思います
一人一人がイノベーションを継続していくことこそが、自分たちの幸せを追求していくことにつながると、感じてることが重要かと思いました。
そのためには、ハーバード大学・京都大学教授の広中平祐さんの言葉がとても好きなのですが、"私は常々「創造のある人生こそ最高の人生である」といっているんです"
から始まり、網本の誰かに編んであげるとか、庭の手入れをしてあげるとか、本当に身近な人たちへ、何かをしてあげること、これが、パッションとなり、仲間と分担して、そして誰かのためになる大義を実現する
一人一人が自らがそれだけをやっていくことが、実はイノベーションの種だと分かれば、きっと少しずつイノベーション推進のマインドセットが、まあ誰にでもうまれてくるのではないかと思います
社会学者のリチャード・フロリダは、「クリエイティブ・クラス(Creative Class)」という概念を提唱して、イノベーションは都市や地域の文化的多様性と寛容さに育まれると言われています(2002)
日本全体がイノベーションを励まし合いながら推進していける、私がいつもお話ししている、全世界一世帯あたり一法人化があたりまえになる、大企業に居ながらにしても、ご家族でなんらかの別の新しい価値を創る活動をしている的な、そんな姿は素晴らしいなあと思いました
ということで
イノベーションは仲間と共創で初めて実現できること、そのための環境と仕組みづくりを常にアップデートとすること、さらには、全員がイノベーターとしてのマインドセットを持てること
そんなことを思いました
一言で言えば
全国民が励ましあいながら突き進むノベーション
そんな話をしています^ ^
参考:本:月刊 「Newsがわかる」特別編 高峰譲吉がわかる 2024年11月30日発行 発行/毎日新聞出版 初出:「実業之日本」10巻2号1907年
動画で観たい方はこちら