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哲学者の西田幾多郎さんの言葉に、深く考えさせられました

"自己の永遠の死を知ることが、自己存在の根本的理由であるのである。

何となれば、自己の永遠の死を知るもののみが、真に自己の個たることを知るものなるが故である。

それのみが真の個である、真の人格であるのである。

死せざるものは、一度的なものではない。

繰り返されるもの、一度的ならざるものは、個ではない。

永遠の否定に面することによって、我々の自己は、

真に自己の一度的なることを知るのである。

故に我々は自己の永遠の死を知る時、始めて真に自覚するのである。(場所的論理と宗教的世界観)"

ここから私は思いました

1、すぐやる力としての行動

2、個として自分の人生を生きる

3、自己を超えていく

1、すぐやる力としての行動

• 自分自身にとって、永遠の死が必ず来るのであるということは、理屈でわかっていてもなかなか意識できてないと思います。

• 1時間後にそれが来るかもしれない、永遠の死と隣り合わせだということを、常日頃意識するということが大切だと思いました。

• そう思うと、これ興味あるから明日やろう、じゃなく、もう今やるかどうか、ということになるなと。

• 実はイノベーターにとってもすごく大事なことで、無謀なことを考えなしにやれという意味ではなく、これがすごく大事だ、ということを自分で認識したら、すぐやる力、そういうことが大事だと、改めて思いました。

• このすぐやる力、そしてすぐ行動する力、これがイノベーターにとっても、必須なのかなと思いました。

• 大企業が市場調査を3ヶ月も4ヶ月もやっている間に、ベンチャー企業がリーンスタートアップ、リーン&スケールでどんどん仮説検証して、いつの間にか答えを見つけてしまうこともよくあるし

• ファストフェイルとして、早く始めて、ダメだったらダメ、どんどんピボットしていくことで、早く答えにたどり着くということにも結びつくなと。

• 世界で同じようなアイデアを思いついている人は7人いるといわれている中で、そこで本当に始める人は何人なのか、始めるスピードは誰が一番早いのか。

• 失敗を繰り返すことによって真の課題にたどり着き、それを解決するソリューションにたどり着くスピードが命になってくる中で

• 永遠の死がいつ訪れるか分からないなら、もう今やるんだと。今すぐお客さんのところへ行って来いと。これがとても大事なんじゃないかとまず思いました。

2、個としての自分の人生を生きる

• 私が大好きな森信三先生も言われていることで「人生に二度なし」ということを思い出しました。

• 普段生活してると、どうしても流れていってしまう。でも人生が二度ない、今一瞬限りしかないんだとすると、他人の人生を生きてもしょうがないよって話だと思います。

• 生活のためには、やらなきゃいけないこともあるし、契約としてここで働くと決めた以上、義務を果たさなきゃいけないこともある中で

• それが自分が本当に人生をかけてやりたいことなのかということとの、すり合わせが大切だと思ってます。

• 自分がやりたいことをやり抜く大谷翔平さんパターンもあれば、まだやりたいことが見つかってなくて働いているうちに、チクセントミハイさんが言うように技術軸と挑戦軸が高まり、めちゃくちゃ面白くなってパッションが芽生えるパターンもある。

• いずれにしても、自分の「個」として、やりたいことをやっていてワクワクする感覚が大事と思ってます。

• 私がワークショップで必ずやるのは、自分の「個」としての「パッションの源」を見ることで、会社生活に入ると与えられたことをやるのに精一杯になるけれど、自分が何を目指したいのかを忘れちゃうこともあって、それを一度紐解いてみる。

• それは仕事だけじゃなく、趣味も人生も含めて紐解いて、会社のミッションやお客様のミッションと重ね合わせることが大事と思ってやってます。

• 永遠の死がいつか訪れる状態なら、「いつか」ではなく「今」、自分の個としての人生をどう生きるか。24時間の中でそれを感じる時間は多いほうがいいよなあと思って、今回のお話も、それにつながるなあと思いました。

3、自己を超えていく(自己超越)

• マズローさんの欲求5段階のさらに上に「自己超越」があって、自分を超えた価値を作っていくことと解釈してます。

• 永遠の死があるなら、自分が一生かけて作った価値も途絶えることがある。でも永遠の価値にしていくためには、自分を超えていくような仕掛けづくりが必要なのかと感じました。

• 内村鑑三さんの『後世への最大の遺物』では、思想やビジネスやお金のほかに、生き様も残せると説かれていますが

• 自分は永遠には残れないけど、何らかの価値を作れば、それは永遠に残る可能性がある。巨人の肩に乗るように積み重ねていく、その歯車であってもいいと。

• 失敗も人の役に立つ。特に基礎研究では、何の役に立つか分からなくても、その積み重ねで次のステップや新しい発見が生まれることにつながると。

• 私がいつもお話ししている「イノベーター3つのフレーム」=リップルモデルも、自分のパッションから仲間と大義を作り、形にすることで世の中に残っていくことに繋がると思ってます。

• それが残っていけば、自分を超えた価値を提供できる。それは大きなビジネスでも小さなもので構わなくて

• 例えば、編み物を編んであげた、そういうことでも、それが人に伝わり、自分を超えて残るかもしれない。形に残らなくても、人の心に残ればいいとも思います。

• 友達の心の中に「あいつがああ言ってたな」と一言でも残れば、それも自己超越だと言っていいんじゃないかと。

• 永遠の死が訪れる中で、自分は終わっても価値が誰かに伝わっていく。そんな素敵な考え方が、イノベーション活動でも大義として目指すところかもしれないなあと思いました。

ということで、一言で言えば、西田幾多郎さんの言葉を借りて

自己の永遠の死を知るノベーション

そんな話をしています^ ^

参考: こころの時代 ~宗教・人生~ 西田幾多郎 悲しみの“底”をみつめて NHK Eテレ 2025/3/29 (*) PM 1:00~PM 2:00 https://www.nhk.jp/p/ts/X83KJR6973/