科学ジャーナリストのデイビッド・エプスタインさんより、ジャズとクラシックの両方で世界レベルの演奏をする珍しい音楽家のジャック・セッチーニさんが語った言葉に考えさせられました
曰く
"不思議なことに、偉大なミュージシャンの中には、独学の人や、楽譜を読めない人たちがいる。
絶対的によい方法があるとは言わないが、今僕のところにはジャズを教える学校の生徒がたくさん来ていて、その生徒たちの音楽はみんな同じに聞こえる。
自分の声をまだ見つけていないみたいだ。多分、独学だといろいろ実験をして、どこで同じ音が出せるかを見つけようとしたりするから、問題の解決方法を覚えるんだろうな"
"誰かが何年も指板をいじくり回してやっと見つけたことを、僕は2分でやってみせることができるが、僕もその誰かと同じように何年もかけていろんなことを見つけてきたんだ。
何が正しくて、何が間違っているのかはわからないし、答えは頭の中にはない。"
ここから私は思いました
1、コスパとクリエイティビティは反比例
2、正解がない世界での試行錯誤
3、自分で考え編み出す楽しさ
この本は、「レンジ」と言われるように、色んなことを経験してきた人が、驚くべき成果を出しているとともに、「遅すぎることはない」ともが言われてると感じました。
人生の中で様々な経験をした後に、1つのものに出会い、それを極めていく人が多い。それは、幅の広さと時間の奥行きを持つ人が面白い成果を出しているのだと感じました。
1. コストパフォーマンスとクリエイティビティは反比例する
・ 指板の話がありましたが、2分でできるようになるには、実は膨大な時間が背景にはあると言うことかと思います。
• イノベーションの世界でも「効率的にやってほしい」と言われ続けてきたんですけど、効率とクリエイティビティは反比例してると感じています。
• 基本的に経営は効率化を進めますが、太刀川さんの進化思考で言うと、それは適応側であって、でもイノベーションは変異側なので、どう変わるか分からないし、淘汰されずに残るかどうかも分からない。
• だから、クリエイティビティはコストパフォーマンスよくできない。だからこそクリエイティビティなんだと。そうじゃないと、今までの延長線上のものしか出てこないと、よく思いました。
2. 正解がない世界での試行錯誤
• 音楽もそうですけど、正解ってないんですよね。偉大な人が何か新しいものを作って、それを後付けで理論化する。そこに効率的にたどり着こうとするのは適応であって、進化側ではないと思います。
• 新しいものを作るためには、道筋はなくて、だから自分でやるしかないんですよね。やるかやらないか。そんな風に思います。
• 英語の勉強みたいに、長くやってても全然しゃべれない時期が続いて、ある時突然わかり始める。それと同じようなことが音楽にもあるんだと思います。やってるうちに急に変わり始める瞬間がある。• その時がすごく楽しくて、僕もピアノをめちゃくちゃに叩いて歌ってるうちに「あれ?なんだこれ?めちゃくちゃ感動的かも」と思う瞬間があったりします。
・ その時は「自分天才なんじゃないか」って思うんですが、でも次の日に聴いて「なんだこれ」ってなることもありますが、、
• それでもすごく楽しくて、他人に聴いてもらう前に、自分が楽しい。自分が納得できるものを作れた瞬間が一番楽しい。そんなことが大切かなと思いました。
3. 自分で考え編み出す楽しさ
• セッチーニさんも「独学だと実験を繰り返して問題解決を覚える」と言ってましたが、人に習うのも悪くはないし、先人の知恵を借りられるのですが、でもそれはまだまだなぞってるだけなので
・ 守破離のように、まずは守りで徹底的に習うことから始まったとしても、それを破ることができるかにかかってるかなと思います。
• 大事なのは自分の声や音を見つけることで、他の人がやってるからこそ、違うものを作る方法もあるし、独学で全然違う道を歩く方法もあると思いました。
• どちらにしても、自分で考えて編み出すことの楽しさ。それがアートやイノベーションにつながるんじゃないかなと、今回セッチーニさんの話を聞いて思いました。
参考:本: RANGE〈レンジ〉 知識の「幅」が最強の武器になる 電子書籍版データ作成日 2021年4月16日 第1版 著者 デイビッド・エプスタイン 訳者 東方雅美 発行 日経BP
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