編集工学研究所の代表の安藤昭子さんから、イノベーションにとても大切な考え方を教えて頂きました
曰く
"この「アフォーダンス理論」に「マイクロスリップ」と呼ばれる現象がある。日常の行為に現れる微かな淀み(スリップ)やそれに伴う自己修正のことで、ほとんど気がつかないレベルでたいていの行為に起こっている現象だ。"
"このマイクロスリップの原理を巧みにユーザーインターフェイスに取り入れているのが、ここ数年のAppleだ。iPhone X 以降に採用されている「Fluid Interfaces」というデザイン思想は、人がためらったり間違えたりすることを織り込んだUI/UXの設計方針になっている。"
"逡巡や失敗や出戻りを織り込んだほうが人間の動作感覚に馴染む、という例だ。"
"思考もまた同じだろう。「ああでもないこうでもない」と複数のマイクロスリップを繰り返しながら、ズレやノイズを含んでものを考えている。''
"「ホットワード(言い換え・連想)」にあたる情報の豊かさが、環境と自分の間の試行錯誤領域になる。「言い換える力」もしくは「連想力」は、こうした編集のバッファを意図的につくっていく上で大事な役割を担う。"
ここから私は思いました
1、あえてボケる
2、進化思考
3、本質の価値を掴む
1、あえてボケる
ボケとツッコミっていうのがありますが、ボケっていうのは、代表的な例で言うと、ナイツさんの、ヤフーをヤホーというやつですね。
どんどんボケることによって、どんどんズレていく。これが実は、新たな観点や発想を生み出すことにつながっていく、一つのやり方だと思います。
言ってみれば、あえてマイクロスリップを起こしていくようなことがなと思いました。
つまり、物事を、意識的にボケていくこと、つまりマイクロスリップしていくことによって、発想が広がって新たな気づきができてくる、ここにイノベーションの秘密の一つもあるような気がしました。
2.、進化思考
太刀川さんのすごく好きな本「進化思考」で、進化(変異)と適用っていう話があって、適応の方は、深掘りをしていくことで、進化(変異)の方はある意味エラーを起こしていくと話があって
生物が、進化していくためにはエラーが必要で、そのエラーしたことが、自然淘汰の中で生き残ってしまうことによって、新たな形に変わっていく。
そういう意味で進化的な思考をするってことは、起きたエラーを受け入れていくっていうことだと、思いました。
つまり、偶然起きたマイクロスリップを受け入れていくっていうことが、イノベーションにおいてはとても大切なことだなあと、思いました。
糸井重里さんの"いいまつがい"というお話に、一時期ハマってたことがあって、日常の中で起きる、言い間違いが、それが、逆に面白い価値を出してるってとこが、大好きでした。
イノベーションにおける、その言い間違いをした時に、あ、それが逆におもしろくない?みたいな、そんなことが大切かなとと改めて思いました。
3.、本質の価値を掴む
以前、フッサールの本質観取のお話をさせて頂いたのですが、あるものを、さまざまな角度から具現化しながら、本当の価値、本質の価値を炙り出していく方法でしたが
そこに、マイクロスリップをいろいろ入れていくことによって、そこにある価値を、さらに飛躍させて、もっと違う新たな価値を生み出すことにもつながるかもしれないなあと思いました
それは、例えば、一つの業界で提供されていた価値が、他の業界に横滑りさせたらどうなるか?とか、少しボケてみたら?エラーを起こしてみたら?抽象化してみたらなどなど
いろんなマイクロスリップを起こすことによって、より自由な発想の広がりが期待できるかもことができるもしれないとも思いました
そしてだからこそ、人間味あふれるものになっていくかもしれない
イノベーションには実は欠かせない考え方かもしれないなと思いました
ということで
一言で言うならば
マイクロスリップ・ノベーション
そんなことを思いました。
参考:本: 問いの編集力 思考の「はじまり」を探究する 2024年9月20日 電子書籍版発行 著者 安藤昭子 発行所 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン
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