日本酒の獺祭は世界的なブランドへ上り詰めていますが、その桜井博志会長の言葉から、これからのイノベーションに大切な考えをいただきました。
曰く
「日本酒ってやってみればやってみるほど手間をかけなければいい酒にならない。手間をかけて物を作っていくといいものができるというのは、人間にとって優しいんですよ。だってそれだけ人間がいるんだ。これがちゃんと理解してもらえないと将来はないと思います。」
(参考:テレビ東京「カンブリア宮殿」2026年3月12日放送「放送20年の総決算スペシャル月間 第2弾 “ニッポンの食”グローバル化の未来」)
この言葉に、私は思いました。
1、人間の手間が価値を生む
2、手間は「優しさ」である
3、産業は人の生きがいをつくるためにある
1、人間の手間が価値を生む
技術の進歩があるから新たな価値がさらに創出される。
そして、DXやAIが登場してきて
「いかに効率化するか」
「いかに手間を減らすか」
事実、獺祭は、実はものすごく詳細なデータ分析をされているということにも、めちゃくちゃ驚きました
しかし、お酒の世界は、最終的には、人間には勝てないんだ、という会長の言葉に、衝撃を受けました
どんなに技術を導入しても、手間をかけないとお酒は良くならない
つまりこれは
「人間の関与が価値を生む」
という世界が、歴然と存在しているのだと思いました。
哲学者のハンナ・アーレントは
「人間の活動の価値は、労働そのものの中にある。」(『人間の条件』)
と言われましたが
つまり、これは、
人間が関わるプロセス自体が大きな価値である
ということ。
これは、これからのイノベーションも同じで、単にAIや技術を導入するだけではなく、
そこから、人間の関わり方をどう設計しなおすのか
そこに本質がある気がしました。
2、手間は「優しさ」である
手間=優しさ
というのも、衝撃の言葉でした。
ライフワークバランスなどを考えたら、できるだけ仕事の手間は減らして、自分の時間、または創造的な時間に使いましょう
みたいなことが、一見正しいことに思えますが、実は全く反対の側面もあると
社会学者のリチャード・セネットは
「よい仕事とは、物と人に対する注意深い関係から生まれる。」(『クラフツマン』)
と言われていましたが、それはある意味、効率化とは真逆の関係性にもなりうることもあるなと
実は、人が手間をかけるからこそ、サスティナブルであり続けるという観点もあってもいいのかもしれない
そして、その手間は、特に、人の感性や感情へ働きかける価値を作る際には、実は、目に見えてないようで、間違いなく感じさせてくれる
生産活動においても、手間は、人に優しいし、創り上げる価値においても、とても人に優しいものになる
それは忘れちゃいけないなと思いました
3、産業は人の生きがいをつくるためにある
経済学者のE.F.シューマッハーは、
「生産は人間を不要にするためではなく、人間を生かすためにある。」(『スモール・イズ・ビューティフル』)
と言われていました。
つまり、
産業における生産活動は、人を減らして効率化して利潤を稼ぐのも重要ですが
しかし同時に、人が生きるためにある
もっと言えば、生きがいを作るためにある
という考え方もあるなあと改めて忘れちゃいけないと思いました。
そいう意味で、イノベーションは
人間が関わる意味を作り直すこと
これからは、そこも大切なポイントなのではないかと、思わせていただきました。
手間をかける。
人が関わる。
人の手が残る。
技術が進む時代だからこそ、
人間の手間の価値を、もう一度考えたい。
それが、これからのイノベーションなのかもしれません。
一言で言うと、手間の価値ノベーション
そんな話をしています^^
(参考:テレビ東京「カンブリア宮殿」2026年3月12日放送「放送20年の総決算スペシャル月間 第2弾 “ニッポンの食”グローバル化の未来」) https://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/smp/backnumber/2026/0312/