ピアニスト 角野隼斗さんの言葉に、これからの創造の在り方を、静かに教えられた気がしました。
曰く
「クラシック音楽という伝統的歴史が長い音楽の上に、自分だからこそできる何か現代さを付け加えるということ。
または、自分自身が本当に心からワクワクすることをやるということ
または、多くの人のためになることをすること。
それでより良いチャンスが自分に舞い込んできたら嬉しい、ぐらいに思っておくのがいいかなと思って。
あとはなんか流れてくる波に乗って、サーフィンしている感じ。サーフィンできていればどこにたどり着きたいとかもないです。それで波に飲まれなければ。」
(参考:NHK「ここから」ピアニスト 角野隼斗さん 2026年1月12日放送)
そのうえで、3つのことを思いました。
1、伝統の上に共感を編み直す
2、パッションと大義が仲間を連れてくる
3、波に乗りながら広げていく
1、伝統の上に共感を編み直す
クラシックという長い歴史の上に、自分なりの現代性を重ねる。
これは、何かをゼロから生み出すというよりも、すでにあるものとの関係性の中で、自分の位置を見つけていく営みなのだと思います。
以前お話しされていた、養老孟司さんの「新しい共感こそがオリジナリティ」という視点とも重なります。
誰も見たことのないものではなく、誰かと共有できる何かを、新しいかたちで接続すること。
その共感の編み直しが、その人ならではの表現になる。
2、パッションと大義が仲間を連れてくる
「自分がワクワクすること」と「多くの人のためになること」。
この二つが重なったとき、そこに人が集まり始めるのだと思います。
ただ、それだけでは広がらない。
そこに「誰かにとって意味がある」という大義が重なったとき、
その熱は自分の中にとどまらず、周囲に伝わっていく。
結果として、仲間が自然と増えていく。
これは、まさにリップルモデルのように、中心の小さな波紋が外へ外へと広がっていく構造。
無理に人を集めるのではなく、
パッションと大義が重なった場所に、人が引き寄せられてくる。
そんな広がり方が、これからのイノベーションには合っている気がします。
3、波に乗りながら広げていく
どこにたどり着くかを決めすぎない。
ただ、目の前に来た波に、きちんと乗り続ける。
この姿勢は、戦略を持たないということではなく、状況に応じて選び続けるということだと思います。
ジョン・ケージが語っていたように
「私は何かをコントロールしようとはしない。起こることに任せる。」
(出典:ジョン・ケージの講演・インタビュー等で繰り返し語られる思想)
あらかじめ固定されたゴールよりも、「いま来ている波」にどう応答するかの方が重要になる。
そして、その応答の積み重ねが、結果として思いもよらない場所へと連れていく。
ただし、その過程で波に飲まれないための軸は必要で、
それがパッションであり、大義であり、自分が立っている位置なのだと思います。
一言でいうと
パッションと大義で波に乗るノベーション
参考:NHK「ここから」ピアニスト 角野隼斗さん 2026年1月12日放送