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森里海連環学には、森から海に至る流域にあるさまざまな生態系の間での相互作用を生物や物質の視点から明らかにすることと、流域における人々の営みや文化を明らかにするという二つの研究があります。前者の研究対象は主に自然であり、後者の研究対象は主に人や社会です。二つの研究を通して、流域の環境と人間の生活を適正に保つのが、森里海連環学の最終の目的と言えます。これら二つの研究の「あいだ」には、自然と人とをつなぐ何かがあり、それを明らかにすることが森里海連環学の目的を達成することになるのではないでしょうか。ここでは、研究プロジェクトの成果をご紹介しながら、「あいだ」が、人びとの環境に対する意識(環境意識)であるという仮説を立てて考えてみたいと思います。

※「森里海連環学とは?」については、あいだラボプレオープンイベントの田中先生のトーク内容もご参照ください。

・あいだラボ・プレオープンイベントvol.2 生態系と人のあいだを紡ぐ森里海連環学とポスト人間中心デザイン(田中克氏・稲村徳州氏・渡邊剛氏)

  
 • 【あいだラボ】プレオープンイベントvol.2 生態系と人のあいだを紡ぐ森里...  

[ナビゲータープロフィール]

・吉岡 崇仁氏(京都大学フィールド科学教育研究センター 特任教授)

京都大学フィールド科学教育研究センター森林生態系部門森林情報学分野・ 特任教授。2007年より京都大学フィールド科学教育研究センターの教授。専門は生物地球化学。森−川−海からなる森林集水域環境における、炭素と窒素を中心とした物質の循環。人びとの環境に対する意識に関する研究。

・田中克 氏(京都大学名誉教授・舞根森里海研究所長)

1943年、琵琶湖近くの滋賀県大津市に生まれる。京都大学名誉教授。現役時代は、タイ類、スズキ類、ヒラメ・カレイ類など沿岸性魚類の初期生活史を研究。その中で多くの稚魚が水際に集まることを見出し、陸と海の境界域としての干潟や藻場や河口域は不可欠の魚の子ども達が育つ場所であり、同時に陸域の人間活動(暮らしや産業)の影響を最も受けやすい極めて“もろい”場所であることより、源流域から海までの多様なつながりを解き明かして、壊した自然や社会を再生させる流れを生み出すまでをゴールに定めた統合学「森里海連環学」を提唱(2003年)。

そのモデル的フィールドしての限りなく豊かであった(漁業生産、生物多様性共に)有明海の再生と2011年3月11日に発生した東日本大震災からの沿岸生態系の復興とそれに依拠する地域社会の蘇生に関わる調査研究・環境教育などを、「森は海の恋人」運動と「森里海連環学」の協働のもとに進める。

・赤石 大輔(京都大学フィールド科学教育研究センター特定助教)

1978年 群馬県生まれ。金沢大学大学院自然科学研究科博士課程後期 修了、博士(理学)。金沢大学・研究員、NPO法人能登半島おらっちゃの里山里海・研究員、珠洲市自然共生室・自然共 生研究員を務める。域学連携事業の企画立案からNPOの設立・運営、多様な主体の連携による里山保全事業の計画策定など、研究者の枠を超えて様々な業務経験を積む。環境省・近畿環境パートナーシップオフィス勤務、京都大学森里海連環 学教育研究ユニット特定助教を経て2020年より現職。

【あいだの探索・実践ラボについて】

あいだの探索・実践ラボは、これからの時代のヒトと環境の関係性を二元論を超えて問い直し、再生・共繁栄的な未来に向けてコトを起こしていくための探索・実践型の共同体です。

あいだの回復・生成をテーマに、エコロジー×ビジネス×デザインの各領域を横断した学び直しと、各地でパートナーと展開するフィールド体験を通じ、理論・身体実感・風土に根ざしたプロジェクト・事業を起こしていくための運動体を目指しています。

https://aida-lab.ecologicalmemes.me

【一般社団法人 Ecological Memesについて】

エコロジーや生態系を切り口に様々な学際領域を横断する探究者・実践者が群れていく共異体として活動。人が他の生命や地球環境と共に繁栄していくリジェネレーションの時代に向け、個人の生き方やビジネスの在り方、社会実装の方法論を探索しています。

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