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# タイムスタンプ

(0:00) Intro:ポッドキャストを始めた背景と続けてきた感想

(7:30) テクノロジーとアナログが同居するアメリカ

(13:13) Fintech規制の強化

(27:00) アメリカはスタートアップのビジネスが産業組織化されている?

(33:08) FTX事件とDeFiの今後

(42:00) FTXはQuickbooksを使っていた?

(47:50) 小林の2022年新作映画ベスト10

# 今回取り上げたトピックと参考資料

今回は2022年総括回と題し、9月から合計17回に渡って配信してきたポッドキャストについて振り返りながら今年のFintech業界の出来事にも脱線しながら話しています。

今年はFintechにとって厳しい年となりました。米国を中心とした世界各国のインフレにより市況は大きく悪化し、多くの企業がバリュエーションを上昇・維持した状態での資金調達が厳しくなりレイオフが盛んに行われました。StripeやPlaidといった優良企業であっても例外ではありません。また、決済手数料や株取引、暗号資産取引といったトランザクションベースの売上を主な収益源としているFintech企業にとって、人々の支出や取引の減少は業績の悪化へと即座につながりました。例えば Robinhood のMAUやCoinbaseの売上は半減しました。多くの企業にとってこの市況を生き残ることが第一目標となっています。

またFintech企業にとって規制上の懸念も大きくなってきています。これは特に米国の話ですが、BaaSの仕組みを利用したFintech企業が多く出現したことやBNPL企業がコロナ禍で隆盛したことで、コンプライアンス順守や消費者保護に対する懸念が広がり、CFPBを中心に規制当局は目を光らせています。

景況感の悪化と規制上の懸念はFintech業界に暗い影を落としていますが、一方でこれを正常な市場へと戻る動きと見る人々もいます。実際、SVBのレポートでは、今年のVCによるFintech企業への投資額は$38Bに達すると考えられており、これは2021年の$56Bに比べれば下落に見えるものの、2020年の$22Bからは1.5倍以上の成長を遂げています。また規制上の懸念に関しても、コンプライアンスを遵守してきた企業がしっかりと優位性を得ることができるようになったと捉えられると共に、顧客体験と消費者保護を兼ね備えた優れたプロダクトが生まれるための必要な引き締めだとも考えられます。また、これに伴ってAML/CTFやKYC、詐欺防止など、RegTechと呼ばれる領域の企業が伸長してきたり、規制の明確化によりFintechができることの幅も広がります。

2008年の金融危機がドット=フランク法ダービン修正事項を生みFintechを育てた大きな栄養となったように、上司との仲違いが8人の反逆者を生みシリコンバレーの誕生へとつながったように、この試練がFintech業界の成長や健全化をより一層推し進めるだろうと信じたいと思います。とはいえ、来年は少なくとも今年よりは良い年になってほしいですね。

本年は本ポッドキャストをお聴き下さりありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

# 話し手

瀧 俊雄

執行役員 CoPA(Chief of Public Affairs) 兼 Fintech研究所長

https://twitter.com/sutebuu

Sandy Kimura

Money Forward USA, President

https://twitter.com/rakeemrakeem

廣瀨 明倫・澤田多実子・植木貴之・有馬瑛里

Public Affairs室 Officer

小林 豪

Public Affairs室

https://twitter.com/GOU_0013