今回は、穏やかで暖かな秋の週末に、素敵な詩と歌をお送りします♪
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秋は、自然が私に最もはっきりと語りかけてくる季節です。
秋になると、言葉にできないくらい素晴らしい景色、音、匂いの乱舞にさらされます。
夏の終わりの息苦しい暑さは、一晩中涼しい空気に包まれるようになり、ひとかけらも残らず去っていきます。
息をするのが急に楽になり、じっとりとした汗が蒸発します。
そして風に乗って漂ってくる分子の一つ一つを感じられるように、深く吸い込みたくなります。
9月の、みな同じに見える深緑色の疲れた同一性から、10月には朱色のハマナス、緋色のカエデ、レモンイエローのポプラ、黄金色のヒッコリーへと変わっていきます。
爽やかな日々の中で、私はすべての音を聞くためにそこら中を歩き回り、遠くを見て永遠を感じます。
この季節になると、動物たちも自然と落ち着きがなくなります。
ドイツには「zugunruhe」という言葉があります。zug(移動)とunruhe(不安)という語源から派生した合成語で、鳥などの季節的な移動を表す言葉です。
この放浪の行動は、どこか遠くへ行きたい、自分が必要だと思う場所へ飛んで行きたいという気持ちを表しているかのようです。
自然もまた、移動し、蓄え、そして死んでいきます。
すべてが加速しているか、減速しているかのどちらかです。
あるものは、次の季節のために種を蒔くことに急いでいます。
アキノキリンソウの野原にいるオオカバマダラ(蝶々)は、黒とオレンジの薄い羽を使って、霜に閉ざされる前に溢れ出す蜜の甘さを集めようと、急ぎます。
リンゴの木とマスカダイン(紫の葡萄)は絡み合い、重く垂れ下がっています。
豊かな果実が実る果樹園は、野生の動物たちに最後の呼びかけをしています。
キツネ、シカ、アライグマ、ポッサム、七面鳥などは、冬に備えてごちそうを食べて、太っていきます。
空気は枯れ葉の香りで満たされ、ベリーが熟してワイルドワインになり、朽ちた芳香が漂います。
秋の空では太陽の位置さえも違っていて、来るべき変化を予感させる、物憂げで穏やかな光を放ちます。
暑い雨の夜を歌で満たすという、数ヶ月間の仕事に疲れたキリギリスは、10月もまだ歌い続けます。
何千もの合唱団はいずれ数百に減り、やがて1匹か2匹になってしまいます。
しつこいコオロギは必死にリズムを取ろうとしますが、最初の霜が降りる頃にはリズムが崩れてきます。
11月、月が青白い太陽のように輝いているとき
私もまた、何かを心から望んでいる欠乏感と、
ウグイスのように色目を使ってさまよいたいという、樹木の色情に浸ります。
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(DearMedia Newsletter No.270より)
■今回取り上げた話題
落ち着きと躍動の間でー秋と、生物の官能的な緊急性について
Between Restlessness and Rapture: Autumn and the Sensual Urgency of Aliveness
https://www.brainpickings.org/2021/09/20/j-drew-lanham-home-place-autumn/
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星野源さんはエッセイ集「いのちの車窓から」
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星野源 – 恋 (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=jhOVibLEDhA
▼秋のはじまりから生まれた歌詞を一部引用
営みの 街が暮れたら 色めき
風たちは運ぶわ カラスと人々の群れ
意味なんか 無いさ暮らしが あるだけ
ただ腹を空かせて 君のもとへ帰るんだ
物心ついたらふと 見上げて思うことが
この世にいる誰も 二人から
胸の中にあるもの いつか見えなくなるもの
それはそばにいること
いつも思い出して
君の中にあるもの 距離の中にある鼓動
恋をしたの貴方の 指の混ざり 頬の香り
夫婦を超えてゆけ
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