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今回ゲスト、株式会社 大都 代表取締役 山田 岳人氏は、

工具や塗料などDIY用品の日本最大級のECサイト「DIY FACTORY」を運営。国内主要モールのDIYジャンル全てでトップシェアを獲得されています。

山田さんに「大都流理念経営」について聞いてみました。

▽元々卸メインだったのに、なぜ小売りに路線変更されたのですか?

大都は大阪にある創業85年の工具販売の会社です。

私は1998年ごろ結婚を機に妻の家族の会社に入りました。

経営状況も苦しかったので新しいことにチャレンジしようと思い2002年にECを始めました。

それまでの5年間で工具に対する知識や取引先であるホームセンターのビジネスや売価に対する知識も身に着けました。

問屋というビジネスモデルは以前は社会に求められて価値があったが利益を生むのは難しくなってしまった。

知識と仕入れ先という資産はあったので、それを生かした新たなビジネスとしてホームセンターに卸していた商品を、お客様に直接販売することにしました。

業界やホームセンターからの反発は大きかったですが何とかスタートしました。

始めた当時、日本のECはまだ全然だった。

伸びるだろう、夢があるだろうという思いでスタートしました。

最初の注文は今でも覚えています。

大阪の下町の工具屋から福島県の方が買ってくれたことにびっくりしました。

インターネットはすごいと思いました。

日本中、世界中の人たちと繋がれるチャンスがある。

そこにかけてみようと思いましたし、今でもECには夢があると思っています。

▽リーマンショック前後だと、まだ問屋業はそこまで厳しくなかったのでは?

僕らの業界は相当厳しかったです。問屋業は規模が大きい方が勝つルールになっているので最後には結局買い叩かれ、ホームセンターからの要求やペナルティも厳しかった。

その時の経験が今の理念を作っています。

我々がミッション・ビジョン・バリューをすごく意識するようになったのもその時のトラウマからです。

我々のミッションはハッピートライアングル、取引先・自分たち・お客さん、みんながハッピーになるビジネスにすることです。

当時は取引先から注文をもらっても文句を言っていた。

全然ハッピーじゃなかったしフェアでもなかった。

我々がこれからやるビジネスは、みんながハッピーになるビジネスにしようと強く決めてスタートして今もそれに基づいてやってます。

▽業界に慣れてしまった従業員さんが多い中で転換期の大都さんは大変だったのではないですか?

ECに踏み込んでやっていたが、問屋業が非常に厳しくて、経営自体もとても厳しい中で、一度先代に廃業を提言したことがあります。

税理士とも話をして提案しました。

先代の希望で、もう一年だけ頑張ることになり当時40、50代の社員さんに、今年も赤字だったら廃業だと伝え、この一年頑張りましょうと話をしました。

でも、その年も赤字で結局全員に退職金を払って解雇しました。

従業員さんに最後のチャンスだと話した1年間、全然変わらなかったし響かなかった。

危機感を煽って変えることは出来ないと悟りました。

最悪のマネジメントでした。

組織というものがいかに大切かということをすごく痛感しました。

組織が強くないと絶対に勝てない。

ではしっかりした組織はどうやったら作れるだろう?と思ったときに「道標」を作ることだと思いました。

当時、ECのメンバーの4~5人だけ残り平均年齢も20代くらいになりました。

▽その残った従業員さんは、山田さんの思いをわかってくれた方ですか?

そうですね。一番最初に採用した社員さんは今も働いています。

女性で子供を二人産んで産休も2回取っています。

ハッピートライアングル、社員も幸せにしなきゃいけないというミッション。

社員の幸せとは何かと考えたときに仕事を続けたいと思う人が続けられるようにしようとなりました。

最近ではリモートワークもしています。

チームで運営するのでチーム力がECの競争力であり、社員・スタッフが安心して働けたり夢が持てるようにすることが会社が成長していくエンジンになると思っています。

▽当然、儲けも大事ですよね?

そうですね。そこは論語とそろばん、ビジョンとプロフィットのバランスは大切にしています。

MVCの象徴として僕たちのミッション・ビジョンを形にする為に実店舗を出したことがあります。

でもバランスはとれていなかった。バランスの取れていない事業は続けることができず5年間で店を閉めることになってしまった。

これは経営のミスです。やったことには意味があった。

ただ、夢と現実のバランスは取っていかないと続かないです。

あと経験から思っていることなのですが、実店舗を閉めたのは本当に苦渋の決断で経営者人生の中で最悪の出来事だと思っていたんですが、その後コロナが発生しました。

判断があと半年遅れていたら、とんでもない損失になっていたはずです。

今振り返れば、あのタイミングで閉められたのは結果として良かった。

過去その時に最悪だと思っていたことが、数年したら、それが一番いい選択だったと思えるようになるかもしれません。

このほかにも盛りだくさん、大都流理念経営について公開しています!

理念経営をご検討中の企業様のご参考になるかと思います!

それでは、大都流『理念経営』、ぜひお楽しみください!

~第137回 ゲスト~

山田 岳人氏

株式会社 大都

代表取締役

1969年11月生まれ。石川県出身。大学卒業後、リクルートに入社。6年間の人材採用の営業を経て、1998年に総合金物工具商社であった大都に入社。2002年にEC事業を立ち上げる。2011年、代表取締役に就任。

工具や塗料などDIY用品の日本最大級のECサイト「DIY FACTORY」を運営。

DIYをブームではなく文化にすべく、取引先とのデータ連携システムを自社開発しDIY領域のECプラットフォームを構築した。

国内主要モールのDIYジャンル全てでトップシェアを獲得しデジタルドミナントを成立させている。