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本日のプレイリスト:https://spoti.fi/3u6lxL0

(今回のメンバー:キョン、やすお、ナル、ソキウス)

本当にあるのか…?

クイズで出題される問題に対して使われることがある「出題価値」という言葉。

鍵括弧付きの「オールジャンル」という形で様々な音を出題してきた「おんたま」【参照:「おんたま」における「オールジャンル」回( https://spoti.fi/3yV8Nbh )】では、どのような形のものを出題に値すると考えてきたのか。

今回は、この「価値」というものがイントロクイズではどう捉えることが出来るのかというのを、出題するのにどの程度適しているかという意味に限定して考えていきます。

(作品(楽曲)自体の「価値」の話は、今後配信を予定している「批評」に関する回で取り扱う予定です。)

まずは以前キョンがoff vocal音源の回( https://spoti.fi/3l24fLG )で述べていた、off vocal音源を出題したことで生まれる「『新たな』出題価値」の何が新しいのかというところから話を始めます。

キョンとしては、これまで自身が経験してきたイントロクイズの場において「暗黙の了解」で(あまり)出題の対象とされていなかった音源の一つの例としてoff vocal音源を捉えているようです。【参照:様々な音源の一例として、以前の「カバー曲」回( https://spoti.fi/3rapeA5 )】

やすおにイントロクイズにおける出題価値について考えていることを尋ねてみると、「有名なタイアップが付いている」や「一般に知られている」という要素がベースになり得ることは想像しやすいが、それ以外にも(やすお自身が重視している)バックボーンの観点から「制作時の背景」といった周辺情報でも価値を見出すことが出来るだろうという答え。

次にソキウスはここでナルが出題価値についてどう考えているか聞いてみようと、思考実験的な例を2つ出しながら「出題価値が『無い』ものはあるのか?」という問いを投げかけます。

(ここでソキウスが仮定として挙げた事例は、 (Gracyk 2013=2019) での「何が音楽か」という議論を参考にしています。)

ナルとしては出題者がいかに価値を「付けられるか」どうかという考えなので、「価値が無いものはない」という立場のようですが…

という訳で1つ目の例は、(1)何か音楽っぽいものを(2)即興で演奏した音源の場合。

これに対してナルは、(2)の要件があることで一般的なポピュラー音楽とは楽曲の性質が異なるため、注釈付きでイントロクイズの「変化球」として出題するのならば面白いだろうと回答。

ただ((2)の要件は特に関係なしに)一般的なポピュラー音楽と同様に(1)の要件があるので、出題の場に提示できる価値はあるとのこと。

続いて2つ目の例は、一般的には音楽とは呼ばれないであろう普通の街の雑踏をその場で録音した場合。

(先ほどの例との違いは、(2)の要件は前提の上で(1)の要件をさらに厳しくしています。)

ここまで条件が付くと価値付けできるかは厳しいとしつつも、やすおの言うような周辺情報を出題者が提示できて、それをも踏まえて出題対象に何かしらの名称を付けることが可能ならば、1つ目の例よりかはさらに出題量を絞った形で出題できなくはないという考えです。

しかしそこには、一般的なポピュラー音楽の扱いと比べるとという前提が存在しています。

キョンにも同じ質問を投げかけます。

キョンもこれまでの2人の意見と大筋では同じですが、出題価値は出題者も解答者も「各々が見出す」ものだという視点がここで出てきます。

それは、たとえ出題者が価値をそこまで見出していなかったとしても、参加者側から価値を見出した場合はそこに価値が新たに見出されるという考え。人々の認識によって価値が社会的に作られていく考えともいえます。

先ほどの思考実験的な例の場合だと、出題者が曲名以外の「問い方」を新たに設定することでそこに新たに価値を生み出していくというのがキョンのスタンスです。

(先ほどの事例で録音されたものの場合、このスタンスだと仮に音源の名称が出題時以前に付けられていなくても出題可能になる)

最後に、ナルとの対話の中でも登場した「世間一般に知られている(知名度)」という尺度をどのように意識しているかについて。

ここまでの対話を振り返ると、ナルにしろキョンにしろ「王道」と「変化球」という形で、先ほどの極端な例は一般的なポピュラー音楽と比べると「変化球」という扱いに置くという点では共通していました。

ここでソキウスはこの知名度という尺度について、以前の「語る言葉」についての回( https://spoti.fi/3A3uJlH )でも提示した(日本でのメインストリームとまでは呼べないが現に存在している)様々な「音楽シーン」との兼ね合いをどう考えているか2人に問います。

音楽シーン内では中心に据えられるような楽曲/人物であったとしても、ナルもキョンもまずは世間一般に知られているかどうかを先に考え、世間一般とは少し違うシーン的な認識の下でより強く価値付けされ得るものに対しては、もちろんそれらに対しての出題価値を評価はするけれど、実際に出題の場で頻繁に出すかは(キョン曰く)「その時次第で」「分からない」とのこと。

特にキョンは、その場その場でシーン的な考えも考慮に入れて見極めていく必要があるというのが自身の出題スタイルであり、それが出題の面白さだと語ります。【参照:出題者回( https://spoti.fi/2STzBJQ )で提示していたキョンの出題スタイル】

ソキウスはこのキョンの回答を受けて、時にはシーン的な認識も考慮に入れていく出題者のあり方は、場合によっては出題への「ハードル」にならないのかと尋ねます。

この質問にキョンは、先ほどのあり方は「より良い」出題をするためには心がける必要があるという形で場合分けをします。

今回の対話はたまたま「おんたま」メンバーが、出題価値は社会的に構築していく/されていくものとする(≒構築主義的)考え方がかなり優勢だったためこのような展開になりました。

それは裏を返せば、出題価値はその対象に元々付いているものだという(≒本質主義的)考え方でイントロクイズにおける出題価値を捉えることも可能であると言えます。

今回の内容は決して、価値は付いているものなのか付けていくものなのかという問いに対してこうであると規範的な意味合いを持たせたものではありません。

イントロクイズにおける出題価値をどう考えるのか。

「何がイントロクイズの出題対象なのか」という話とも密接に繋がるこの価値付けの論点は、今後も何か個別具体的なテーマとともに引き続き考えていきます。

【本日の一曲】

毎回最後に1分以内で今紹介したい1曲を持ち回りで語ってもらう「本日の一曲」。

今回はキョンが、好きなYouTuberの楽曲を紹介。

1stアルバムを熱望しています。

【今回のキーワード】

「出題価値」/「世間一般に知られている」/出題価値が無いもの/楽曲の周辺情報/曲名以外での問い方/知名度/「王道」と「変化球(色物)」/(日本での)メインストリーム/出題へのハードル/イントロクイズの出題対象/リサイタルズ

【参考資料】

Gracyk, Theodore, 2013, On Music, London: Routledge.  (源河亨・木下頌子訳, 2019, 『音楽の哲学入門』慶応義塾大学出版会.)